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「脱北者をお金のために通報しないで」元・脱北少女 中国で訴える

2016/04/25
更新: 2016/04/25

過酷な脱北経験をもつ李炫秀(イ・ヒョンソ、Hyeonseo Lee)さんは、北京で開かれた講演会で、自分の脱北体験を明かし、さらに中国政府の脱北者に対する非人道的な対応を批判した。脱北について中国で公にスピーチされるのはめずらしい。また、中国人が懸賞金を得るために、中国へ渡った脱北者を政府へ通報していることも明かした。ニューヨーク・タイムスが1日に報じた。

1997年の真冬の夜。17歳の李さんは、中朝間をへだてる凍った鴨緑江を渡り、中国入りした。紆余曲折を経て11年後、韓国に入国し、政府に保護された。2013年2月に講演会動画サイト「TED」でその過酷な体験を暴露すると、現在までに再生回数400万回に達する高い注目を集めた。

 北京での講演、中国の強制送還を非難

李さんは3月26日、北京で開催された図書展覧会で英語でスピーチし、自身の著書「7つの名前を持つ少女」を紹介した。そのなかで、共産党が脱北者を強制送還していることに抗議した。

「数ケ月前、私は微博(中国版ツイッター)で100件もの攻撃的なメッセージが送られてきた。これほど多くの中国人が脱北者を憎んでいるなんて驚いた。彼らは中国政府の宣伝を信じ込み、私たちを反逆者だと思っている」と、ニューヨーク・タイムスに答えた。

李さんは、中国人ではなく、中国政府とその政策を嫌っていると話す。「中国の政策とは、脱北者を通報すればお金がもらえるというもの。3千元から5千元(約5万4千円から9万円)が手に入るらしい。中朝国境地帯の中国人の多くは、金銭目的で脱北者を通報する。本当に悲しい現実」と述べた。

李さんは講演の依頼を受け入れるまで、半年の時間を要した。家族の安全も確保しなければならなかったという。しかし、共産党の宣伝を信じる中国人に真実を知らせるため、北京で講演会を行うことを決断した。

 

 経由地にすぎない中国で、脱北者を捕らえる共産党

「中国は脱北者が必ず通る場所だ」と李さんは話す。「中国で多くの人が逮捕され、脱北に成功する者は半数に満たない。経由地にすぎない中国は、「北朝鮮の望むように、脱北者を逮捕したり強制送還したりせず、安全に通過できるようにするべき」とイさんは提唱する。脱北者の最終的な目的地は韓国なのだ。

李さんは「もちろん、中国政府に脱北者を難民として認定してほしい。これは私の行き過ぎた要求かもしれない。中国は自国の国民の権利さえ認めてないから。でも列車やバスに乗っている脱北者を見逃してほしい」と話した。

中国メディアの報じるデータによると、2012年の時点で、中国に渡った脱北者は約20万人で、大多数は東北地方にいる。中国政府は脱北者を「違法入国者」としてみなしてきた。また、脱北者を経済難民とみなし、政治難民であることを否認し続けてきた。さらに、韓国や国際社会の反対を顧みず、多くの脱北者を強制送還した。

インターネット作家の厳偉さんは中国共産党が脱北者を強制送還することを「血まみれの犯罪」と呼ぶ。厳さんは、脱北者は命からがら逃げてきた難民として描く。金王朝による残虐な統治の下で朝鮮の人々は窮地に陥り、多くの人が必死の思いで国境を越えて中国に入り、そして韓国か第三国に移る。

「中国人は中国政府が何をしているかを知るべき」

脱北者が中国で拘束されると、北朝鮮に強制送還される。他国への出国も許せず、外国大使館等に逃げ込んだとしても、中国警察や軍隊は引きずり出す。李さんは、送還後の脱北者の運命を明かす。

「北朝鮮の軍人は時に、中国役人の目の前で銃殺する。すぐ処刑しない場合は、軍人が脱北者の鎖骨に針金を通し、家畜を扱うかのように引っ張っていく。現代国家では動物をこのように扱っても虐待の罪で処罰されるが、『人民共和国』と冠す2つの国家の一方はこの上なく残虐、野蛮であり、もう片方は見て見ぬふりをし、その手助けをする」。

「中国には多くの悪人が生活している。人身売買もある。でも多くの善良な人々もいる」と李さんは述べ、大切なのは、中国人に中国政府が何をしているかを知らせることだと主張した。

(翻訳編集・文亮)

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