【紀元曙光】2020年6月29日

(前稿より続く)記号化された非文字によって、農民はエライと教えた。知識人や教師には「臭老九」という最大級の侮蔑を加えた。
▼そこには、文化を尊重する姿勢は微塵もなく、ただ政治利用できるものを利用し、それ以外は抹殺する身勝手さしかない。さらに中国共産党というのは、それを派手に演出して見せるのが実にうまいから厄介だ。群衆を熱狂状態にすると、狂気が、恐るべき「正義」になってしまうのである。
▼2012年9月、私服の公安が扇動し過激化させた「反日デモ」も、そうだった。中国人が経営する日本料理店なども、暴徒によって破壊された。こうなると何の反日か分からないが、中共の場合、「常に内部の闘争がある」と見ると分かりやすくなる。あの時のデモは、江沢民派の残党が、国際社会での胡錦涛の顔に泥を塗るためにやったらしい。そもそも問題の本質は、尖閣ではないのである。
▼毛沢東や康生がその典型だが、もとからアタマのいい人間のなかに、共産主義という悪魔思想が入ると、実に恐ろしい行動をとる。自分以外の人間が「まともな意見」を述べると、その人物は消されてしまうのだ。彭徳懐も、劉少奇も、それで死んだ。
▼台湾も香港も、簡体字ではない、旧来の繁体字をつかっている。極めて正しい。加えて、香港における民主化要求というのは、方法論上の議論ではなく、襲いかかる津波を必死で押さえる防潮堤なのだ。堤が決壊したら大惨事になる。
▼では将来の「中共なき中国」で、広大な中国全土が米国のような普通選挙をおこなう民主主義になるかというと、なれないし、ならなくて良い。(次稿に続く)