古今和歌集

わが君は千代に八千代に細れ石の巌となりて苔のむすまで

夏の夜の臥（ふ）すかとすれば時鳥（ほととぎす）鳴く一声に明くるしののめ

よそに見て帰らむ人に藤の花這いまつはれよ枝は折るとも

やどりして春の山べに寝たる夜は夢のうちにも花ぞ散りける

花のごと世の常ならば過ぐしてし昔はまたも帰り来なまし（古今集）

天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも

やまと歌は人の心を種として萬の言の葉とぞなれりける。

我が国最初の勅撰集である『古今和歌集』に、蓮を詠んだ一首「蓮葉（はちすば）のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく」がある。

いつしか立春になった。今日から春と聞いただけで、わずかながら嬉しい。