薬用植物 センニンソウ

センニンソウ(仙人草)はキンポウゲ科センニンソウ属の多年草で、根を乾燥させたものは威霊仙(いれいせん)という生薬として用いられます。アネモニン、有機酸が含まれ、生の状態では毒性が強いため、生葉の汁が皮膚に付くと炎症したり、水泡が生じたりするので注意が必要です。

威霊仙には祛風湿(風邪の湿邪によって起こる体の痛みを緩和させる)作用、通経絡作用があり、リウマチや痛風による関節痛、手足の痺れに用いられます。また、明代に纏められた『万病回春』を原典とする処方に二朮湯(にじゅつとう)がありますが、これは威霊仙をサトイモ科の半夏や天南星、キク科の白朮、蒼朮などと組み合わせる処方で、上腕や肩関節の痛みを和らげる効果があり、肩関節周囲炎(五十肩)に用いられます。同じく『万病回春』に出てくる疎経活血湯(そけいかっけつとう)という処方では、祛風湿、通経絡の作用があるセリ科の当帰、羗活、白芷、防風及び瘀血(おけつ)を取る桃仁、赤芍薬などと威霊仙を組み合わせて、坐骨神経痛、打撲痛、痺れなどを改善する目的で用いられます。

(吉本 悟)