米国、新華社など2社を「共産党宣伝機関」と認定 取材に制限科す可能性

2018/09/20
更新: 2018/09/20

米国司法省はこのたび、中国官製メディアの新華社通信を中国政府の宣伝活動を行う機関だと認定し、外国代理人登録法(FARA)に基づき、登録するよう命じたという。ブルームバーグとウォールストリート・ジャーナルが報じた。中国中央テレビ(CCTV)傘下の英語放送局CGTNも登録対象で、2社は今後、ホワイトハウスの取材活動などが制限される可能性がある。

新華社通信は、中国共産党政権が直接管理する国営メディア。CCTVは、中国共産党宣伝部が統括している。

中国外交部(外務省)は、2社の外国代理人登録について、米政府から知らされていることを認めた。耿爽・報道官は19日、この事案について「米国と連絡を取り合っている」と述べた。

米国内の関連報道によると、外国代理人に登録された企業は、外国勢力のためにロビー活動や秘密情報活動をする組織と見なされ、ホワイトハウスでの取材制限や、記者証明のはく奪もありうるという。

米司法省はこれまで20の中国メディアを外国代理人として登録している。中国日報(チャイナ・デイリー)、人民日報、新民晩報など。いずれも中国官製メディア。

安全保障を懸念する米国の超党派議員は、同国に200以上設置されている「孔子学院」に対しても、外国人代理人に登録するよう求めている。「孔子学院」は中国共産党の思想宣伝とスパイ活動を行っていると指摘されている。

今年3月、共産党中央委員会の会議で、習近平主席は「世論を主導するメディアの主導権の強化と、党プロパガンダの確かな実施」を強調した。英語放送のCGTNには国際的に「共産党の理念、原則を宣伝」「中国のイメージアップを図る」ことを任務としている。

不公平な取材条件

19日、外交部報道官は定例記者会見で、「米国は、メディアの通常業務に対して障害をもたらすのではなく利便性と適切な環境を与え、メディアの『政治化』をやめるよう中国は希望する」と述べ、米国の決定を批判した。

しかし、在中の外国メディアは、取材活動を厳しく制限されているとの報告がある。中国の外国人記者クラブ(FCCC)は、外国人記者やジャーナリストは当局に敵視され、ビザの強制はく奪や国外退去の脅威に常にさらされていると報告している。

サウスチャイナ・モーニングポストは19日、匿名の米政府高官の話として、米政府は、中国で米メディアの取材活動が制限されていると認識し、相互に対等な関係が成立していないとみて、今回の措置を講じたのではないかと報じている。

政治腐敗を暴露したことで一時拘束された、広州『現代快報』の元記者・劉虎(音訳)氏は「中国官製メディアは党と政府のプロパガンダを宣伝するためにある。それが本来の姿だ」「報道に客観性はなく、党か政府の主観的見解しか伝えない」とRFAに語った。

(編集・佐渡道世)

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