中国証券当局の前トップ・劉士余氏、腐敗疑惑で「自首」

2019年05月22日 15時41分

中国共産党中央規律検査委員会は19日、同ウェブサイト上で、中国証券監督管理委員会(証監会)の前主席である劉士余氏について、「規律違反および違法行為」の疑いがあるとして、調査を受けていることを発表した。また、劉氏は「自首した後、調査に協力している」とした。

劉士余氏は今年1月までの3年間、中国証券当局、証券監督管理委員会のトップを務めた。それまで中国人民銀行(中央銀行)の副総裁、中国農業銀行の党委員会書記などを歴任した。今年1月、劉氏は突如、中華全国供銷合作(購買販売協同組合)総社の党組副書記と理事会主任に降任された。同氏の拘束は、中国国内金融業界に大きな衝撃を与えた。

汚職の疑い

中国政府系メディア「北京青年報」は、党中央規律検査委員会の劉士余氏についての発表に、4つの「異例な文言」があると指摘した。

1つ目は、「調査に協力している」ことだ。これまでの高官の摘発を公表する際、声明は「調査を受けている」とした。2つ目は、「自首」という言葉だ。劉士余氏は、5月9日に失脚した雲南省元トップの秦光栄氏に続き、「自首した」2人目の高官。3つ目は、声明では劉士余氏のことを依然として「同志」と呼んでいること。最後に、劉氏について、声明は「規律違反および違法行為の疑い」としたことだ。これまでは「重大な」という修飾語がつくことが多かった。

中国国内セルフメディア「叩叩財訊」は20日、評論記事を掲載し、劉氏の失脚に関して、南京銀行の資産運用部門責任者、戴娟氏などの金融不正や汚職と関係するとの見方を示した。「戴娟氏らは南京市の党規律検査委員会の取り調べに対して、規律違反および違法行為を認め、劉士余氏の関与に関する重要な情報を提供した」

記事によると、劉士余氏がトップに就任した後の証券当局は、他の地方の金融機関の新規株式上場に対しては厳しい審査するのに、劉氏の故郷である江蘇省の金融機関の上場申請は相次いで許可した。しかし、その中の一部の金融機関は株式上場してからの2年間、株価が低迷し、1株当たり純資産(BPS)を下回っていた。

習近平氏の狙い

米中国語メディア「新唐人テレビ」のコメンテーターを務める、中国人学者の章天亮氏は19日、劉士余氏の失脚は、習近平政権による金融セクターへの締め付けが、依然として続いていることを反映している、との見方を示した。

章天亮氏は、ユーチューブに投稿する自身の時事評論動画で分析を行った。章氏は、米中貿易戦が始まってから、習近平政権は内憂外患の局面に陥ったとした。外部では、米政府が構造改革を要求している。中国共産党内部では、習近平氏の政敵が、国内経済情勢の悪化をめぐって、習陣営に責任を擦り付けようとしている。

「このような状況の下で、習近平氏は内外により強い態度を示さなければならない。最近、国内メディアが相次いで反米言論を強めたのはこのためである。また、劉士余氏を摘発することで、党内からの反発を抑える狙いがある」

「中国経済情勢の悪化を背景に、習政権は金融セクターにおける腐敗を取り締まり、高官らが汚職によって得た巨額の不正資金を回収し、国庫に充てる意図もある」

劉士余氏は、朱鎔基元首相の部下だった。劉氏が上海市経済体制改革弁公室に赴任した1987年、朱鎔基氏は中央当局によって、国家経済委員会副主任(次官)から上海市党委員会副書記に任命された。1991年3月、朱鎔基氏が国務院副首相に昇格した後、劉士余氏は上海から中央政府に入り、国家経済体制改革委員会(現在、国家発展改革委員会)などの部門で勤務した。

(翻訳編集・張哲)

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