台湾総統が米到着、異例の長時間滞在は米政権による支持表明か

2019/07/12
更新: 2019/07/12

[ニューヨーク 11日 ロイター] – 台湾の蔡英文総統が11日、カリブ海諸国への外遊の経由地として米国に到着した。出発前には、台湾の民主主義は絶対に守らねばならず、現在は「外国勢力」からの脅威にさらされていると、暗に中国を批判していた。

台湾を自国領土の一部とみなす中国政府は、米国に対して蔡氏が立ち寄るのを認めないよう求めており、反発を強めている。

蔡氏は米国でカリブ海諸国訪問前に2泊(ニューヨーク)と、訪問後の帰路に2泊(デンバー)する予定。同氏がマンハッタンのホテルに到着する直前には、ホテル入口で親中派と親台湾派の集団が激しく口論し、最終的に警察が割って入る事態も起きた。

今年3月にも蔡氏は米国を訪れたが、今回の滞在時間は通常の1泊程度に比べると異例の長い時間だ。専門家によると、これは安全保障や貿易問題で米中対立が続く中で、中国からの圧力が強まっている蔡氏をトランプ政権が支持すると強調するメッセージになるという。

一方で米国務省は、蔡氏の滞在は「私的かつ非公式」なものだとの立場を打ち出している。

蔡氏はニューヨークで、当地で生活している台湾の人たちや外交関係がある各国大使と面会する。

蔡氏は来年1月の総統選に向け、中国の脅威から台湾の民主主義を守るためには国際社会の支持が必要だと繰り返し訴えている。米国が台湾に設置した実務処理の窓口機関、米国在台協会の所長を2002─06年に努めたダグラス・パール氏は、蔡氏が対中政策として掲げている「警戒と自制」というスローガンを米政府が認めた結果が長時間滞在につながったとの見方を示した。

さらにパール氏は、トランプ政権はまだ台湾に対する伝統的な米国の政策を大きく転換する姿勢は示していないが、米中関係が悪化する中でそうした転換が起きてもおかしくないと付け加えた。

米政府は今週、中国の批判を受けながらも台湾への武器売却を承認している。

Reuters
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