アンチエイジングの知恵  長生きと若返りに関するウソ・ホント

私たちのおばあちゃんの時代には、女性は36歳で老齢期の入り口に立たされていた。女優のベティ・ホワイト(97)や俳優のディック・ヴァン・ダイク(94)がハリウッドスターのキャリアの期限を伸ばしたように、65歳になったモデルのクリスティ・ブリンクリーは、以前では考えられないほど長い期間、女性が官能的な魅力を保てることを証明した。

それでも、私たちはこれまで以上にアンチエイジングに取り憑かれている。最新の化粧品やサプリメントの広告が登場するたび、若さへのプレッシャーに押しつぶされながら美容業界の利益に貢献している。しかしただの誇大広告ではなく実際に効果がある商品はあるのだろうか。

さらに言えば、最新の研究でも笑顔やストレスフリーな生活が健康につながることが証明されている中で、本当に高価なサプリや名前も読めない外国のジュースに大金をつぎ込む必要があるのだろうか。

おそらくほとんどの人が、笑顔でも化粧品でも、効果があるなら両方を選ぶ作戦を取るだろう。それならこの記事を読んでよく判断してほしい。読み進めるうちに身体に害を及ぼしている製品があること、また実は身体に良いのに排除しているものがあることがわかってくるはずだ。

アンチエイジングのウソ・ホント

ヒト成長ホルモン

うわさ:HGH(ヒト成長ホルモン)は加齢を遅らせ、老化を食い止める安全で自然な方法である。

ヒト成長ホルモンの投与が筋肉量の増加、免疫システムの強化、性欲の促進などに効果があることが明らかになっている。しかし、人間の場合は気分の改善が見られたものの、マウスによる実験では成長ホルモン値の上昇は延命に効果を得られないことが示唆された。さらにヒト成長ホルモンが癌細胞の成長を促進し転移を早めることが証明されており、人間の寿命を縮める危険性も懸念されている。

アンチエイジング専門家のキャサリン・アーバンテリー医師は次のように述べている。「人間の外見には明らかな違いが見られます。シワが減って若々しくなり、白髪が黒髪に戻ったという人もいます。しかし私の患者さんにHGHを処方することはありません。危険を伴う治療なのです」

同じく専門家のヘレン・ペンサンティ医師も同意見だ。「成長ホルモンの過剰産生によって引き起こされる先端巨大症という病気があります。耳や鼻、顎が肥大しつづける病気です」

レスベラトロール

うわさ:定期的に赤ワインを飲むと老化を遅らせるのに十分な量のレスベラトロールを摂取できる。

アメリカ国立老化研究所によれば、レスベラトロールを投与されたマウスの心臓、骨、運動機能は改善し、白内障にも効果が見られた。進行中の人間による研究でも認知機能と運動機能に向上が見られた。効果を得るのに十分な量のレスベラトロールを摂取するためには、1日に数十本のワインを飲む必要がある。通常ワインボトルには多くても5mgのレスベラトロールしか含まれておらず、推奨される摂取量の250〜500mgをはるかに下回っている。幸いにもレスベラトロールは現在ほとんどのドラッグストアで購入することができる。

キャサリン・アーバンテリー医師は次のように述べている。「患者さんに少量のレスベラトロールを処方することがあります。通常1日に250mgで、ほとんどが記憶障害を発症した高齢の患者さんです」

太陽

うわさ:有害な太陽光は何としても避けるべき。

UVBとUVAがどちらも肌を老化させることは事実だ。しかし太陽光を浴びることで体内に生成されるビタミンDの不足は、乳がんや多発性硬化症などの病気を発症する一因になることが明らかにされている。どちらの割合もここ数十年で上昇しており、医師らは皮膚ガン防止のための日焼け止め使用の促進が、思わぬ結果を招いたのではないかと危惧している。

「YOU: Staying Young」の著者、メフメト・オズ医師は次のように述べている。「老化が心配な方は手と顔に日焼け止めを塗ってください。10,000 IU(国際単位)のビタミンDを生成するには10分程しかかかりません。肌を黒くするにはそれ以上の時間がかかります」

テロメラーゼ治療

うわさ:テロメラーゼは未来の治療法であり、生きている間に実用化することはない。

染色体の末端にあるDNA塩基配列をテロメアという。テロメアは染色体の融合を防いでいるとされ、歳をとるにつれて短くなっていく。テロメラーゼは少なくとも一部の細胞株において細胞の老化を防ぐとされる酵素だ。もしテロメラーゼが細胞の老化を食い止めることができれば人間の老化を止めることもできると論じる人もいる。現在までにTA-65と呼ばれるテロメラーゼ活性剤がすでに利用可能となっている。

アサイージュース

うわさ:アサイーには他の野菜やフルーツには含まれない病気を予防する抗酸化物質が大量に含まれている。

While the acai is good for you, so are lots of other dark purple fruits—like prunes. (Shutterstock)

アサイーは中南米に生息するアサイーヤシの木から取れる赤みを帯びたフルーツだ。アサイーには強力な抗酸化物質であるアントシアニンとフラボノイドが含まれており、ストレス要因から身体を守る働きをする。これらはまた体内の細胞を守る役割もはたしている。体内で生成される有害物質であるフリーラジカルは抗酸化物質の豊富な食生活によって中和され、老化や病気の進行を抑える可能性がある。

アサイーはたしかに身体に良いが、その他の濃い紫色のフルーツ、特にプルーンはアサイーよりもはるかに安価で手に入る。アメリカ合衆国農務省は抗酸化特性に基づいて食品を評価しており、酸素ラジカル吸収能においてはアサイーではなくプルーンが1位を獲得している。

現状

これまでに判明している中で、人間の老化を遅らせる唯一の方法はカロリー制限である。ピッツバーグの神経外科医で「The Longevity Factor」の著者でもあるジョセフ・マルーン医師も、「カロリー制限には長寿をもたらす可能性があります」と述べている。

ワシントン大学医学部の研究者らは、カロリー制限は老化を遅らせるという観点において運動以上の効果があることを明らかにした。マウスとラットを使用した以前の研究によれば、カロリー制限と持久力トレーニングはどちらも肥満、糖尿病、心血管疾患、癌などの慢性疾患の予防に効果がある。最新の研究より、カロリー制限だけが動物の最長寿命を最大50%延長できることがわかった。こうした研究では、痩せることが加齢に伴う病気の予防において重要な要因とされているが、実際に老化を遅らせるためにはカロリー摂取量を減らす必要がある。

しかし、驚いたことに生物学的要因は老化の進行速度において部分的にしか影響を与えていない。環境要因が同じくらい重要な役割を持つのだ。最新の調査によれば、環境要因には私たちの考えや感情も含まれており、前向きで幸せな気分が老化速度を抑えることが明らかにされている。

アーバンテリー医師は次のように述べている。「心身相関についてアドバイスをするとしたら、自己受容を身につけることをおすすめします。毎日自分に優しい言葉をかけて、1日1回は鏡を見て自分を褒めてあげてください。毎日1つ、自分を許してあげることが大切です」

その他の老化の真実

・人の短期記憶は25歳からゆっくりと衰え始める。
・目に入る光の量は13年ごとに半分に減るので、45歳では19歳のときの4倍の光量が必要になる。
・目の大きさは思春期の頃から変わらないが、耳や鼻は成長し続ける。
・代謝をコントロールする甲状腺ホルモン値は年齢とともに低下し、加齢による骨格筋の消耗は避けられない。筋肉は脂肪に比べて1ポンドあたり4カロリー多く燃焼するため、筋力トレーニング抜きで老化が進むと脂肪が燃焼されにくくなる。

(文:ジョニ・ラヴェンナ ※健康管理を専門とするフリーランスライター。彼女の記事は長年にわたって多数の出版物に掲載されている。脚本家、テレビ作家としても活動している)

(大紀元日本ウェブ編集部)