前稿に続いて書かねばならない。日本での関連報道についてである。
▼当たり前のことだが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者数および死亡者数は、その実態として、中国政府が発表する数字をはるかに上回っている。病院に入れず「自分の家で隔離しろ」と言われた患者が死亡しても、カウントされないからだ。医師の死亡診断書に、新型肺炎ではなく「普通の肺炎」と書かれてしまうケースもある。
▼ところが、日本の主要紙が伝える記事を見ると、相変わらず中国政府の発表をベースにしたもので、肝心の「その先」がないのである。ある大手新聞の2月2日の記事は「人民日報によると」で始まり、その次には中国共産党の機関紙である同紙が載せている感染者数と死亡者数が引用され、「新型肺炎の感染拡大に歯止めがかからない状況だ」と続く。
▼この中で、かろうじて正確なのは、「感染拡大に歯止めがかからない」の部分だけであろう。その他は、前提となる数字に信憑性がないため、報道としてほとんど価値はない。
▼ところで、武漢の知音湖のほとりに「火神山医院」なる病院が、形としてはできたらしい。本当に病院と呼べるかどうかは別として、着工から夜通し10日間で、これほど大掛かりな建築をなしえたことに、ある意味で世界は驚いた。
▼が、間違っても称賛してはならない。繰り返すが、あれは見世物なのだ。中国共産党が演じる田舎芝居を、中国国内と全世界に向けて披露したようなもので、日本のメディア各社が宣伝に利用されないことを願う。では、火神山医院の真の目的は何か。次稿に書く。