太平洋島嶼国への中国援助、19年に3割減 米日豪の関与強化が影響か

2021/09/30
更新: 2021/09/30

豪シンクタンクのローウィー研究所が29日に発表した「太平洋援助マップ」によると、中国の太平洋島嶼国への援助は2019年に31%減の1億6900万ドル(約189億円)となった。過去10年間で最少を記録した。

同マップは、仏領ニューカレドニアと仏領ポリネシアを除く、太平洋島嶼国の主権国家14カ国に対して援助を実施した66カ国と数万の援助プロジェクトを網羅したデータベースだ。

中国は近年、同地域で影響力を拡大するための外交活動を活発化させている。

習近平国家主席は2018年末、パプアニューギニアを国賓訪問した。19年後半、キリバスとソロモン諸島の2つの太平洋島嶼国は、台湾と国交を断絶し、北京と国交を樹立した。中国共産党にとって同地域での大きな勝利となった。

同研究所の太平洋諸島プログラムのジョナサン・プライク部長は「これまでの数年間、中国は一貫して関与を強めてきたが、19年には援助の急激な減少が見られ、これは予想外だ」と指摘した。

中国からの援助は16年のピーク時、2億8700万ドル(約321億円)に達した。

長い間、同地域を支援してきた米国、日本、オーストラリア、ニュージーランドは近年、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に代わるプロジェクトを提供する取り組みを強化している。

2019年に同地域への援助金は合計、24億4000万ドル(約2732億円)にのぼる。オーストラリアから8億6400万ドル(約967億円)を提供され、各国で最多となる。ニュージーランドは2億5300万ドル(約283億円)、日本は1億7920万ドル(約200億円)と続いた。

プライク氏は「太平洋諸国にとって、より多くの選択肢が増えているため、中国からのプロジェクトよりも条件の良い取引を求めているのではないか」と考えられる。

「中国からのプロジェクトの多くが期待通りの成果を上げていないため、彼らは何のために借金をするのかについて、少し賢くなった」とプライク氏は指摘した。

「中国の関心は他に向いているのかもしれない。いずれにしても、中国が世界規模でその財布の紐を締めていることは確かだ」と同氏は付け加えた。

(翻訳編集・李凌)