8月、22歳の中国人学生・顧さんは、米テキサス州ヒューストン大学への進学を予定していたが、8月31日にヒューストンの空港に到着した際、税関職員に呼び止められ、中国共産党や中国国家留学基金委員会との関係について質問を受けた。
36時間にわたる尋問が行われた末、顧さんは強制送還され、今後5年間米国への入国が禁止されることとなった。この出来事は、在米中国人コミュニティの間で大きな注目を集めている。
顧さんは哲学科を専攻しており、ヒューストン大学での学びに向けて準備を進めていたという。AP通信の取材に対し、顧さんは次のように語っている。「必要な書類はすべて揃え、人文学科への進学を希望していました。米国の大学からは全額奨学金を受ける予定で、過去にはコーネル大学で1学期の交換留学も経験しました。それまで特に問題はありませんでした」。
AP通信によると、顧さんはテキサス州の空港で入国審査を受けていた際、税関職員に呼び止められ、手荷物が検査され電子機器が没収された。その後、36時間にわたる尋問が行われ、帰国便に搭乗させられて中国に送還された。また、今後5年間は米国への入国が許可されないとの通知も受けたという。
顧さんによれば、電子機器の検査後、税関職員は中共との関係について質問を始めた。両親は共産党員だが、本人は党員ではなく共青団の団員であると説明したという。
また、税関職員からは中国国家留学基金委員会との関係についても質問があったという。顧さんは、中共当局から資金を受け取ったことはないと述べている。
尋問は計3回、合計10時間に及んだ。その後、税関から強制送還が告げられた。顧さんはAP通信の取材に対し、「税関から具体的な理由の説明はなかったが、退去時に交付された書類には『書類不備』と記載されていた」と語り、現在は上訴を検討しているという。
米国国土安全保障省は8月27日、留学生や文化交流の訪問学者、報道関係者のビザ有効期間を短縮する規則案を発表した。
今後、国際学生のFビザおよび訪問学者のJビザは有効期間が4年に短縮される。また、外国人記者のIビザは最大240日間有効となるが、中国人記者については90日間に制限される予定だ。
トランプ大統領就任以降、米国ではビザ審査や入国審査が厳格化している。特に、量子計算や人工知能など最先端技術を学ぶ学生や、中国共産党政府や軍との関係がある学生は、ビザ取得や入国が拒否されるケースが増えている。
過去1年間で、ミシガン大学をはじめ複数の米国大学が中国の大学との提携を解消した。また、ここ数か月、中国人留学生がビザ申請や入国時に困難を経験する事例も増加している。
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