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遺体の不正売買で波紋 ハーバード大学に管理責任問う訴訟再開へ

2025/10/11
更新: 2025/10/11

アメリカ・マサチューセッツ州の最高裁判所は10月6日、ハーバード大学医学部に遺体を寄贈した故人の一部遺族が、同大学を相手取って訴訟を起こすことができるとの判断を下した。遺族らは、ハーバード大学が遺体の取り扱いにおいて不適切な管理を行い、同大学医学部の元遺体安置所管理者が遺体の一部を違法に闇市場へ売却した事件について責任があると主張している。

マサチューセッツ州最高司法裁判所は、第一審裁判所の裁判官が、元管理者セドリック・ロッジ(Cedric Lodge)の行為に対してハーバード大学の責任を問う訴えを退けた判断が誤りであったと認定した。ロッジは、研究目的でハーバード大学医学部に寄贈された遺体を解剖し、その一部を盗んで販売していた。

裁判所は、この判断に全会一致で同意し、スコット・カフカー判事は、意見書の中で「原告らは、ハーバード大学が寄贈された遺体の取り扱いにおいて誠実さを欠いたとする十分な根拠を有している」と述べた。また「寄贈された遺体に対して長年にわたり恐ろしくも無礼な扱いが行われていた」と指摘した。

「ハーバード大学には、寄贈された遺体が尊厳をもって適切に取り扱われるよう確保する法的義務がある。しかし、大学自身も認めているように、その義務を完全に怠っていた」とカフカー氏は記述した。

また、同裁判所は、ハーバード大学の解剖学における遺体寄贈プログラムの総責任者に対する損害賠償請求訴訟についても審理を再開する判断を下した。

検察によると、ロッジは2018年から犯罪行為に及び、寄贈された遺体から頭部、脳、皮膚、臓器などを盗み出した。また、ボストンのハーバード大学医学部内の遺体安置所からニューハンプシャー州ゴフスタウンにある自宅へ運び、妻と共に売却したという。

訴訟は12件にのぼり、47人の遺体提供者の遺族が、ハーバード大学がロッジによる長年の不正行為を看過し、過失があったと主張している。ロッジは2023年に起訴されるまで、その行為を続けていた。

マサチューセッツ州の第一審の裁判官は昨年、ハーバード大学が州の「統一解剖遺体贈与法(Uniform Anatomical Gift Act)」を誠実に遵守していたのであれば、広範な免責を受けることができると判断していた。同法は、研究や教育目的での人体の提供を規定するものである。

一方、カフカー判事は、10月6日の裁定において、ハーバード大学がこの法律を遵守していなかったとする十分な理由があると述べた。その内容には、ロッジによる遺体の切断や、外部の者を遺体安置所に入れて人体器官を売買させた行為、遺体から臓器を持ち出す行為を防止するための仕組みを大学が構築していなかったことなどが含まれている。

原告側のジェフリー・カタラーノ弁護士は、この裁定を歓迎し、原告らは「このような事態がなぜハーバードのキャンパス内で起こり、そしてなぜそれが長期間にわたって放置されてきたのかについて、さらに多くの答えを得る権利がある」と述べた。

李馨