縁結びと神々の都

出雲(下)

2016/02/26 07:00

 出雲大社から西に向かってほぼ1キロメートルのところに、日本の海・百選に選ばれた「稲佐の浜」がある。旧暦の10月10日に、神在月の到来を告げる「神迎神事」が執り行われる場所で、出雲大社に集まる全国の神々がこの浜から出雲へ上陸するという。また古事記・日本書紀に記された神話の中で、「天照大神」(あまてらすおおみかみ)の使者と「大国主大神」(おおくにぬしのおおかみ)が「国譲り」の交渉をした舞台が「稲佐の浜」だと伝えられている。

弁天島

 稲佐の浜に一際目立つ丸い島がある。古くは「沖御前」といい、遥か沖にあったと言われている。昭和60年前後までは、島の前まで波が打ち寄せていたが、近年急に砂浜が広がり、現在では島の前まで歩いていけるようになった。穏やかな海岸の景観を更に引き立てている。

日御碕神社

日御碕神社(こずえ撮影)

 社殿は徳川家光の命により造営された桃山時代の面影を残す精巧な朱塗りの権現造り(ごんげんづくり)で、江戸時代初期の貴重な建築物として重要文化財に指定されている。素盞鳴尊(すさのしたおのみこと)をお祀りする神の宮、天照大神をお祀りする日沈宮の2つの社殿が並んだとても珍しい造りになっている。また本殿蛙股(かえるまた)を中心とする彫刻は龍虎や鶴亀や松竹梅等が見事に施されている。

出雲日御碕灯台

出雲日御碕灯台(こずえ撮影)

 波が激しく打ち寄せる奇岩や絶壁が続く景勝地国立公園日御碕の先端に立つ灯台。明治36年(1903年)に設置され、高さは43・65メートル、海面から灯塔の頭上までは63・30メートルと日本一の高さを誇る。光度は48万カンデラで夜間約40キロメートル沖合まで達し、100歳を越えた今でも現役で海の安全を守っている。外壁は松江市美保関町で採取された硬質の石材を用いた美しい石造りで、内壁にはレンガ造りが施され、外壁と空間を空けた特殊な二重構造となっている。その歴史や文化的な価値の高さから、平成10年には「世界の歴史的灯台百選」の一つに、また平成25年には国の登録有形文化財に選ばれた。

 灯台の内部には、163段のらせん階段があり、参観料200円で灯台上部の展望台へと上がることができる。5階建てのビルと同じくらいの高さだろうか。最後の18段はほぼ垂直で、登りきると外に出ることができる。風は強いが展望台からの眺めは絶景だ。眼下に広がるパノラマの日本海に島根半島の全景。晴れた日には遠く南方に中国山地の連なり、はるか北方には讃岐諸島ものぞめる。(完)

(文・こずえ)

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