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(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

崖っぷちの北京

 【大紀元日本12月7日】今年9月より失業率の急増、株式市場や不動産の暴落、需要が緩和するなどの経済危機で、中国30年来の経済高速発展の歴史に終止符を打つことになりそうだ。この危機はまた一党独裁政権の中国共産党にとって1989年の民主主義要求デモ以来の最大の挑戦になりそうだ。

 米誌『ニューズウィーク』(12月8日号)は、中国共産党がすでに泥沼にはまっていることに気づいたようだ。それで第3四半期の成長率が9%と発表した直後から5900億米ドルの支援策を追加発表した。多くの人が中国の経済成長速度が一段と遅くなるとの見方をしている。また、2009年に関しても7%の成長率しかないだろうとの見方すらあるようだ。スコットランド・ロイヤル銀行は、来年の中国の成長率が5%に留まると予測した。実際、昨年の経済成長率が前年比で11・9%であり、1990年から成長率が6%を下回ったことがないと言う。

 一方、中国共産党の経済刺激支援策については、政策の失敗と世界貿易体制にさえ影響してしまうほど、大きなリスクをもたらすことになると指摘する人もいる。米国が1930年代に世界最大の輸出国として、また、工業生産過剰な国として、スムート・ホーレー関税法を成立させ、最も高い関税の障壁を作ることで、さらなる経済の後退を招いた。今の中国は当時の米国と同じ状況にある。中国は市場が壊れつつある今、外国の保護主義の反撃を招かないよう、過剰な輸出に歯止めをかけるべきだ。

 同誌によると、世界の工場とも呼ばれている中国が経済金融危機の最大の被害者になるという。銀行経済学者のスティーブン・グリーン氏(Stephen Green)の言葉を引用し、中国の消費で世界の経済後退を救うのはただの空想と指摘した。

 同誌の分析によれば、中国は当時の米国よりも大きな代償を払うという。なぜなら、米国の家庭にとって危機は貯蓄を多めに、消費を少なめにすることを意味するが、一方、単純に計算すると中国の家庭消費量は米国のわずか5%しかないのだ。投資や輸出に頼るばかりの中国は、他の方法で過剰なる工業生産を止めるしかないのだ。

 中国の支援策に対して各界から中央政府の決議の規格性に対する異議が上がっている。グリーン氏はこの支援策は輸出と基礎施設に重点を当てて、衛生や教育も重点を置かれているが、十分なサポートが得られないだろうと分析した。英誌「エコノミスト」によると、このような支援策は目新しいものではなく、しかも5900万ドルのうち、わずか1/4だけが支援の新計画に使用されること、また、社会福利の部分に関しては不景気により地方政府の収入も減少していることから、中央政府の支援がない限り、適切に執行される可能性が極めて低いという。

 グローバル投資銀行のモルガン・スタンレーアジア部門責任者のスティーブン・ローチ氏(Stephen Roach)によると、社会保障への投資が貯蓄を減らし、消費を刺激する効果があるが、共産党がその政策を考えもしていないと言う。中国の病院で観察すれば、社会保障と家庭消費の関係が分かるはずだ。病院では患者に先払いをさせた上、治療費などでその全額を使われる後に、完治できなくても患者を退院させるのだ。WHOによると、中国の医療支出はGDPの1%も満たなく、そのレベルが196ヶ国中156位だったと言う。

 同誌は、国連発展計画と中国改革及び発展研究所(China Institute For Reform and Development)が共同で行った研究報告の結論がまったく一致しないことを指摘した。国連の研究報告では、中国政府に13億人の健康、教育、就職及び定年後福利を提供するよう呼びかけている。さらに、農民、流動就業者や貧乏な人々の需要を注目するように強調した。このような社会福利の支出が年間で約550億ドルになる。しかし、その効果は鉄道や道路などの整備よりも高いと考えられる。

 中国共産党の決定層が高速発展に一生懸命となっているが、実際に労働者のために社会福利システムを完備させ、彼らを新たな消費層に変える方策がまったく見られていないようだ。

 1990年代末期、東西発展の差をなくすこと、貧富の差を縮めること、国有企業の巨大な利益を社会のための資金にすることなどの呼びかけが、時には耳に届くこともあった。しかし、内陸に進出する「西進」がただの呼びかけにとどまり、国有企業の巨額の資金の中で課税された部分はわずか一部に過ぎない。北京大学経済学教授のマイケル・ペティス氏(Michael Pettis)によると、中国の商業中心主義が1929年の米国のような状況を導き、最終的には自らその悪い結果を身をもって味わうこととなるという。

 G20各国の首脳は最近、グローバルの金融構造や自由貿易の自由を守る重要性について強調した。1999年から2002年にかけて世界貿易機構(WTO)事務局長を務めたニュージーランド前首相のマイク・ムーア氏(Mike Moore)が、G20の非公開会議で、この金融危機には輸出の拡大ではなく、中国、インドや東南アジア諸国を消費国に変換することがアジアの急務であるとした。これは暗黙了解のことであり、あらゆる国家や国民にとって良い発展であり、さもなければ状況のさらなる悪化に繋がると指摘した。1930年代に世界貿易規模が70%低下していた。あらゆるそのような経済民族主義時代の考えが今の危機を災難に変えかねない。

 中国の首脳たちが巨大な経済的挑戦を直面している。2009年に彼らのリーダーシップが試されるに違いない。特に、悲観的な見方をする人たちの予測のように中国経済が停滞期に入ると、共産党が政権の危機を直面し、その規模が1989年の民主主義デモを超えるものとなるかもしれない。

(記者・呉英、翻訳編集・日本語版グループ)

 (08/12/07 15:00)  





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