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今回は米国からの輸出を見送られたF16戦闘機の模型の前にたたずむ台湾空軍の士官たち(SAM YEH/AFP/Getty Images)

米中関係の陰陽離合=インドの視点

 【大紀元日本2月22日】3カ月前、「米中蜜月」「協調路線」を全面に押し出し、中国に配慮するオバマ大統領が中国を訪問した頃、台頭する中国が米国とともに世界のG2となり、両国が国際社会での主導権を執っていくという見解が、国際戦略の専門家たちの間では主流だった。しかし、ここ数カ月、グーグル事件、対台湾武器輸出問題、オバマ大統領のダライ・ラマとの面会などを通して、米中関係に一触即発の緊迫感が募ってきている。

 中国は米国の国債を保有する最大国であり、また、安い人民元のため対米輸出では黒字を続けており、米中関係は経済という共通利益の面で、切っても切れない関係にある。米中間の衝突と共同の利益関係に対して、各国はどう対処したらいいのか。インド「ビジネス・スタンダード」紙のベテラン解説委員でインド国防研究・分析センターの設立者であるスブラマニャム(K.Subrahmanyam)氏は最近、陰陽離合として、米中関係について論じている。世界経済が徐々に回復し始めている今、オバマ政権は、中国が米国経済に与えうる被害を見積もった上で、中国に配慮する路線を捨てて、国際社会で米国がリーダーシップを取る姿勢を見せ始めていると分析している。

 同氏の評論の主な観点を以下に挙げる。

 昨年のオバマ大統領の訪中では、国際社会は、米国が中国とともに2G体制をなし、アジア各国もこの変化に自ずと立場を調整していくものと予測していた。この見方はインドでも広く支持されていた。

 オバマ大統領は、世界の多元化を承諾する立場をとっており、米国を強権国家として維持しようとする意図は、前ブッシュ大統領ほど強くない。しかし、最近の米国の政策から、オバマ大統領が強硬路線を取り始め、世界のリーダーとしての米国の立場を失ってはならないと決意したことがうかがえる。

 米国は「一つの中国」と主張しながら、武力による台湾と中国との統一に反対すると明言している。あらゆるコミュニケの中で中国の核心的利益を尊重すると主張する一方、台湾に武器を売却している。明らかにコミュニケの関連規定に違反する行動で、中共は国営メディア新華社を通じて米国に厳しく警告した。

 また、米国との軍事交流と安全問題についての対話を遅らせ、米国の関連企業を制裁すると脅かした。その中で、もっとも影響を受ける可能性があるのはおそらく、旅客機を中国に販売するボーイング社であろう。中国はすでにエアバスからの許可を獲得しており、民間航空機の組み立て製造を始めているところだ。ボーイング社の制裁を通しての損失の見込みを最小限に止めようとしている。

 中国の反応に対し、米国国家安全保障顧問ジェームズ・ジョーンズ(James Jones)氏は、米国にとって米中関係はもっとも重要で優先的に考えるとし、武器売却については、「我が国のやりかたが、すべての国を満足させることは不可能だ。中国は新たに興った強国として、多くの国際的な施政に影響力をもっている。このため、武器売却や軍事衝突において、われわれは中国共産党政権と新しい関係を結ぼうとしているだけである」と説明している。

 米メディアによると、武器の売却、ネットの自由化、オバマ大統領のダライ・ラマとの会見の時期などはいずれも、熟慮した後の決断であった。台湾への武器売却も意外なことではなかったはずだが、中国メディアの評論では、何度抗議しても米国は中国の反対を無視し決行したと批判している。

 世界経済が徐々に回復している今、中国が米国経済に与えうる被害を見積もったあと、オバマ大統領は国際舞台に米国の強大な軍事力と動員力を示し、しかも中国の裏庭を選んでメッセージを送ったのである。台湾、日本、韓国、アセアン諸国はこのメッセージが送信された対象国である。米国国家安全保障局(NSA)の論評をみると、中国が実行可能なマイナス的反応を視野に入れ、今後の米中の経済関係に影響しないと判断しての決断であったことが分かる。

 今のこの情勢は、「中国の世界に対する主導権を認めるのは、米国の経済、世界におけるリーダーシップおよび国家安全にとって、いずれも不利である」という米大統領選挙の時のオバマ大統領の中国に関するコメントを思い出させる。

 米国への巨大な投資により北京はすでに米国経済成長の利害関係者となっている。中国の成長は米国と共生関係にあるが、米国は特に中国と連結しなくても、グリーンエネルギーとエネルギー保護の新たな製品において、経済成長の促進をはかり、輸出を増大することは可能だ。

 金融危機以来、米中は共同利益のための協力を余儀なくされ、双方は時に衝突が起ったり、時に共同利益のためにその衝突を抑えたりしている。米中関係の発展と変化からインドが得るべき示唆としては、印度は適切な情報評価能力を育み、個別のケースから結論を早急に出すことを避けるべきだ。また、固定的な自国に対する敵・味方関係を維持せず、情勢に応じて判断を行うべきだと同氏は論評を結んでいる。

(翻訳編集・小林)


 (10/02/22 08:41)  





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