立退き屋に雇われるHIV患者ら 「取り締まれない」=中国河南省

2014年12月29日 15時42分
【大紀元日本12月29日】中国国内紙「新京報」の報道によると、家屋の移転をめぐって住民と業者との対立が頻発している中国では、HIV(エイズ)患者を立退き屋として雇い、住民を追い出すという手口がよく使われている。河南省南陽市政府は25日、「HIV立退き屋」を摘発し、主犯格を拘束したと発表した。

 現地公安当局の関係者は新京報の記者に対し、「10年前から、借金の取立や、家屋の移転にHIV患者が雇われているのを知った」と話し、「赤い液体が入っている注射器を手に相手を脅かす」などその手口を明かし、「捕まえても(こういう病気だから)収容するところがない」と問題を放置してきたことを認めた。

 最近、HIV患者と名乗る大群が同市の移転対象の団地に入居し、移転を拒否する住民を脅す事件が取り沙汰され、当局はようやく取り締まりに乗り出した。

 新京報は2010年末から関与するHIV患者らを取材してきたという。

 肖三さん(仮名)は「年には3、4回ほど『仕事』が舞い込んでくる」「仲間が多いので電話一本ですぐに数十人が集まる」と漏らしていたという。2011年に交通事故で亡くなった彼はHIV集団感染の被害者の1人で、1999年には従兄、2年後には兄をHIVで亡くしたという。

 日頃は日雇いのアルバイトで生計を立てているという王向財さんは今回も取材に応じた。その話によると、「この手の仕事」の日当は食事付でおよそ100元(約2千円)。人をあっせんすれば仲介手数料ももらえる。「日当400元(約8千円)をもらったときもあった。実においしい仕事だ」と彼はまったく悪びた様子もなく語り続けた。

 「体力的に楽なので、仲間たちはこの『商売』を好んで引き受ける。河南省だけでなく、北京、上海、広州などの大都会にも『出稼ぎに行った』」

 「『私はHIV患者だ』と叫びながら、HIV治療カードを高く挙げ、住民にみせればよい。相手は一目散に退散してしまう」

 2010年に取材を受けた1人は昨年6月、農薬を飲んで自殺したという。

 中国では、1990年代に貧困地域の農民たちは現金収入を得ようと売血に走り、ずさんな血液管理が原因でHIVの集団感染が多発、河南省では多くの「エイズ村」があると言われている。HIV治療のボランティアを長年続けてきた医者・高耀潔氏は2005年当時、「河南省だけでも感染者は約100万人、全国なら600万人に達する可能性がある」と指摘した。

 被害者であるうえに加害者になったHIV患者、彼らに脅かされる住民。いまの中国社会の弱者層が置かれている現状の一部を映し出した。

(翻訳編集・叶子)


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