大紀元時報

漢方から見た「熱中症」その原因と対策

2021年7月11日 22時00分
漢方医学の見方によると「熱性」「虚性」「湿性」の3種の体質の人が「最も暑気あたりを起こしやすい」と言われています。(takeuchi masato / PIXTA)
漢方医学の見方によると「熱性」「虚性」「湿性」の3種の体質の人が「最も暑気あたりを起こしやすい」と言われています。(takeuchi masato / PIXTA)

熱中症に弱い「3種の体質」


中毒とは「毒に中(あた)る」こと。同様に、夏の暑さで体調が悪くなる「暑気あたり」は、中国語で「中暑」と書きます。


湿度が比較的高いとされる日本の夏は、こうした暑気あたりに罹りやすい環境だと言えます。今日では「熱中症」という総括的な名称が定着していますが、直射日光による日射病、高温の密閉空間による熱射病などがあります。


いずれの場合も、外的な要因があって、体内にこもった熱を自力で排出できなくなるのが原因です。意識障害や体調不良、重篤な場合は死に至ることもあるので、もしも自分の身近にそうした患者がいたら、第一発見者である「あなた」が慌てず、迅速かつ適切に初期対応してあげることが肝要です。


さて、そうした外的な要因に加えて、漢方医学はもう一つ、患者がもつ「体質」にも留意して治療や予防に当たります。


台北市にある詠生漢方医院の院長・呉建東氏は、「どのような体質の人でも熱中症になる可能性はあります。ただ、熱性体質、虚性体質、湿性体質の3種の体質の人は、その可能性が高いと言えます」と指摘します。
 

夏は、体内の熱がこもりやすくなります。頭痛やめまいを感じたら、無理をせず、すぐに涼しい場所に移って水分補給するなど、適切な対処をしてください。(Yokohama Photo Base / PIXTA)



体内の「熱」「湿」を除くことが必要


漢方から見たこれら3種の体質とは、以下のような体質です。


熱性体質とは、もともと体内の「火気」が強い人です。夏は暑さの影響を受けるため、「火に油を注ぐ」ように体内の熱が追加されます。この体質の人は、口腔が乾きやすく、口臭などの症状が出やすいと言えます。


虚性体質とは、虚弱で、体力や抵抗力に乏しいことを指します。高齢者や子どもは、虚性体質であることが多いと言えますが、暑さに関して言うならば、虚性体質の人は、汗腺の開閉や体内水分を皮膚へ運搬するなどの機能が弱いため「汗をかきにくい人」という意味になります。


このような体質の人は、脾胃(脾臓と胃)も活発でないことが多いため、食事からの栄養も十分には摂れず、水もあまり飲もうとしない傾向があります。そのため、体外から熱を加えられると、大きなダメージを受けることになります。


夏に雨が降ると「湿」と「熱」が同時に脾胃を襲うため、虚性体質の人は、消化器である胃腸の状態が悪くなりがちです。そうなると、胃痛、食欲不振、吐き気、便通の不順、大便が粘つくなど、良くない症状が現れます。


湿性体質は、体内の水分が濃く、汗をかきにくい体質です。そのため、上昇した体温を発汗によって下げることが困難になります。しかも汗の臭いが強く、汗をかいた後に体がべたつきやすい、夏に湿疹が出やすい、顔がテカテカしやすい、などが特徴です。また湿性体質の人は、胃腸の消化不良を伴うことが多いと言えます
 

キャプ熱性体質の人は、砂糖の入っていない、冷たい緑茶を多く飲むといいでしょう。(momo / PIXTA)



「暑さに強い体質」に変えていく


暑い日に体調不良を感じたら、まずは涼しい場所へ体を移し、十分に水分補給してください。大事に至る前に、冷静に行動することが大切です。自分の体が動かないときは、遠慮せず、近くの人に救助を求めてください。


ただし、注意したいのは、高温の屋外からエアコンが効きすぎた低温の室内に入ると、急激な温度変化によって皮膚下の毛細血管が収縮し、そのため体内の熱が放出されにくくなることがあります。


漢方医である呉建東氏は、「冷房の効いた部屋に入るときは、汗をよく拭き、発汗で濡れたシャツを着替えることをお勧めします」と言います。


そうした対処方法の前に、普段の生活のなかで「暑さに強い体質」に自分を変えていくことも可能なのです。


熱性体質の人は、瓜類や果物を適量食べることで暑さを解消し、体内の「火気」を解くことができます。同じく、冷たい緑茶を多く飲むことをお勧めします。体内の熱を下げ、暑さを解消するとともに、唾液の分泌を促進して渇きを止め、「肝火」と「心火」を緩和します。ただし、店でこのようなお茶を購入する際は、氷なし、無糖のものを選んでください。なお、空腹時にお茶を大量に飲むことは、胃への刺激が大きくなるので避けてください。


虚性体質の人は、栄養バランスを重視し、消化吸収の良い食べ物を選びましょう。


ネギ、ショウガ、ニンニク、コショウ、唐辛子は、気血の循環を促進し、発汗を促す作用があるとされていますが、虚性体質の人は、特に唐辛子を避けてください。胃腸の調子を悪くして、下痢をするようではいけません。同じ理由で、冷やした果物など、冷たいものは控えたほうがいいでしょう。


湿性体質の人は、「淡泊な食事」が主となるようにしてください。ヨクイニン(ハト麦の種子)や豆類などは、体内の湿気を排出するのに役立つ食べ物ですので、多く食べます。


また湿性体質の人は、料理にスパイスを加えたり、生姜を活用すると、発汗が促され、体内の湿気を素早く除去することができます。


本格的な夏は、これからです。体調を整えて、元気に乗り越えましょう。


(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

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