天然成分で即効性のある化粧品が良いとは限らない

天然成分配合のスキンケアやコスメは、必ず良いものなのでしょうか?即効性を追求したスキンケア製品で考えられる問題点とは?著者のチャン・チュウフェイ博士は栄養免疫学の教育に熱心で、食事で肌を改善する方法だけでなく、そうした製品を購入する際のポイントも教えています。

天然成分は必ずしも安全ではない

100%ナチュラルなスキンケアや化粧品というのは存在しません。天然エキスはごくわずかで、残りのほとんどは人工的に合成されています。これらの天然成分は、必ずしも合成成分より安全性が高いとは言えません。

いわゆる「天然」成分は、植物だけでなく、ミネラルや、昆虫の粉砕物、魚のウロコ、カタツムリの粘液、豚の脳細胞などの動物性成分が使われているのが一般的です。 

また、栄養や保湿効果をうたったスキンケア製品で、カタツムリの分泌物やセレブロリジン(牛や豚の脳細胞由来)が含まれているものがあります。また、スキンケア用品や化粧品はすべて細菌に汚染されているため、防腐剤が必要です。

防腐剤がなければ、有害な細菌による感染や、酸化による製品の劣化が、防腐剤そのものよりも健康に有害です。安全で認可された保存料を少量添加していれば、製品の安全性と安定性を確保し、保存期間中、意図した通りの性能を発揮させることができます。
 

スキンケアや化粧品の中には、天然成分配合と宣伝しているものがありますが、天然成分が必ずしも人工成分より安全とは限りません。 (Shutterstock)

体に負担をかける添加物に注意

スキンケアに関しては、成分の効果よりも、安全性や健康が優先されるべきです。多くの成分は、即効性はあっても、誤って食べてしまいやすかったり(口紅など)、皮膚から吸収されやすかったり(化粧水、乳液など)、肌や体に負担をかける可能性があります。

科学者たちは、人間の組織から多くの一般的な化粧品成分を発見しました。さらに、化粧品やスキンケア製品に含まれる有害な化学物質が人間の母乳から発見されたこともあるのです。

例えば口紅や美容製品に含まれる鉛、ヒ素、水銀、アスベストなど、化粧品に含まれる代表的な不純物の一つです。これらの成分は、母体を通じて間接的に胎児や赤ちゃんの健康に影響を与えるだけでなく、黒ずみの増加やアレルギー性皮膚炎、さらには神経障害や皮膚がんなどを引き起こす可能性もあるのです。

大人が有害な化学物質を含むスキンケア製品や化粧品を使用していると、赤ちゃんや子どもがそれらに指で触れ、口に入れてしまうことがあります。また、ベビーパウダー、ボディーソープ、ベビーローションなどの製品を誤って吸い込んだり、飲み込んだりすることもあります。

さらに、原材料が同じでも、調達先や加工方法、メーカーのノウハウによって、最終的に品質や純度、安全性は大きく変わってきます。例えば、同じ水でも、水道水、ミネラルウォーター、蒸留水、精製水といった違いがあります。

また成分が適切に処理されなかったり、特定の物質と組み合わされたりすると、有毒な副作用が生じ、肌や体に深刻なダメージを与える可能性もあるのです。 

例えば、スキンケア製品に最も多く使われているアルコールは、量が少ないと効果が得られませんが、多すぎると害になります。また、石油由来の質の悪いアルコールには、メタノールやベンゼンなどの有機有害物質が含まれている場合があり、誤って口にすると中毒を起こすことがあります。 

一方、純粋で安全なアルコールは、穀物と酵母の自然発酵から生まれ、使用前にろ過や蒸留などの複数の精製工程を経ているため、肌に負担をかけることはありません。

スキンケア製品や化粧品の原料選定、研究開発、処方、試験などは、精密かつ厳格な科学的プロセスの一環であり、責任感のある、信頼できるメーカーの専門知識と経験が必要です。 

責任感のあるメーカーは、製造工程のすべての段階で細心の注意を払い、毒素、重金属、バクテリア、アレルギーの可能性、成分間の安全性などを繰り返し検査し、皮膚や健康に害を与える可能性を排除するとともに、皮膚刺激やアレルギーなどのリスクを最小限に抑え、製品の安全性を確保します。

『栄養・免疫・長寿』(原水出版)より抜粋

(翻訳・里見雨禾)