健康増進に役立つ「GABAウーロン茶」その効能と飲み方は?

 

日本に「ウーロン茶」という聞き慣れない名前の飲料が登場したのは今から40数年前。1970年代の終わりでした。

「新しい飲料」になった烏龍茶

「ウーロン茶を飲むと痩せる」という不思議な風聞が流布したのも、その頃でした。
実際には、ウーロン茶自体にそれほどのダイエット効果はなく、油っこい中華料理を多く食べれば当然太ってしまいます。

しかし、甘味の強すぎる飲料しか市販されていなかった当時の日本で、ウーロン茶は、とくに女性に歓迎される飲み物として、次第に定着していきました。

半発酵茶である烏龍(ウーロン)茶は、もちろん中国の福建省や広東省、台湾などで古くから生産されていました。

日本でこの種類の中国茶が商品化されたことは、烏龍茶の歴史にとっても、新しい時代を迎えたことになります。もともと烏龍茶は、ただの飲料ではなく、家庭で小さな茶器を用い、熱いお湯をそそいで友人や来客との時間をゆっくり楽しむ様式の「功夫茶」だったのです。

それが日本では、缶やペットボトル入りの冷茶となり、コインを入れた自動販売機の下段に騒がしく落ちてくる清涼飲料水になったのですから、もはや文化としては「別種の飲み物」になってしまったのかも知れません。

さて、その日本が発祥地で、1980年代後半から市場に出てきた「GABA(ギャバ)ウーロン茶」という商品があります。今では台湾などでも生産されています。

日本で開発されたGABA茶

この茶名に当てられた中国語の漢字は「佳葉烏龍茶」です。
「佳葉」とは、つまり「良い茶葉をつかったウーロン茶」という意味でしょうか。

GABAはγ(ガンマ)アミノ酪酸のことですので、全体としては「その神経伝達物質が豊富に含まれている、健康に良いウーロン茶」ということになります。

これは1980年代に日本の研究者が開発した特殊な茶葉加工技術によって、茶葉のなかのGABA含有量を増やし、それを利用して健康効果の高い保健茶に転化したものです。

その技術とは、未加工の茶葉を置いた密閉空間に窒素を充填して、茶葉を発酵させる方法です。このような発酵過程を経て、茶葉中のグルタミン酸はGABAに転化します。茶葉を収穫する前に、茶の木を2週間、陽光を遮って日陰にするとGABAのレベルが上がることも、日本での研究により分かっています。

佳葉烏龍茶(GABAウーロン茶)に関する既存の研究では、この茶を飲用することにより血管内壁の筋肉が弛緩し、血液の正常な流れが促進されるため、血圧を下げる効果があることが判明しています。

お茶で「ストレスが軽減」

佳葉烏龍茶は、茶葉100g当たりGABA含有量が150ミリグラム以上でなければならないとされています。

ある研究によると、通常のウーロン茶を淹れても200ccの茶に0.25ミリグラムのGABAしか含まれていませんが、佳葉烏龍茶は200ccの茶に2ミリグラムのGABAが抽出されます。

ウーロン茶は高レベルの抗酸化成分を含むため、健康に有益であることは知られていますが、佳葉烏龍茶はさらにその健康効果が高いとされています。しかも、適量を飲むならば依存症にもならず、副作用が出ることもないので、服用に注意を要する化学薬剤の代替品になります。

「佳葉烏龍茶」は、茶葉100g当たりGABA含有量が150ミリグラム以上でなければならないとされています。(Shutterstock)
 

2019年のオーストラリアのある研究は、GABAを豊富に含む茶を飲むことと、ストレスレベルおよび心拍数の変動レベルとの関係を調査しました。

過重なストレスを受けている人は、一般的に心拍数の変動幅が大きいとされます。長期間にわたってストレスを受けている人は心血管疾患を発症しやすくなります。そのため、これらの人にとっては、ストレスレベルをできるだけ下げることが重要です。

同研究は、被験者が1杯の佳葉烏龍茶を飲んだ後、そのストレスレベルが明らかに下がり、心拍数の変動レベルも顕著に改善されたことを見出しています。

 

「飲み過ぎ」にはご注意を

GABAを豊富に含む佳葉烏龍茶は、不眠症うつ病、不安障害の改善や軽減にも効果があります。こうした症状をもつ人は、もともと体内のGABAのレベルが低いため、不眠症や精神不安に関連する症状が出やすいと指摘されています。

これに対して、脳でストレス阻害剤として働くアミノ酸のGABAは、心身のリラックスを促し、睡眠の質を向上させます。そのほか、佳葉烏龍茶のもう一つのメリットは、精神の集中力を高めることです。

このように健康効果の高い佳葉烏龍茶ですが、飲む量はあくまでも適量を守ってください。多く飲んでも副作用はありませんが、あまり極端な健康志向に走ると、それ自体がストレスになってしまいます。

佳葉烏龍茶を、睡眠障害の改善やストレスの軽減に役立てるためには、夜のゆったりした時間に飲むのが最適です。

ただし、お茶の飲みすぎは、吐き気や消化不良、呼吸困難を引き起こす可能性もあります。就寝中に何度もトイレに起きて、睡眠の妨げにもなりますので注意が必要です。

(文・Skylar Parker/翻訳編集・鳥飼聡)