子供の心を育てるために

これは、現代社会ではちょっと珍しいことですが、実際に中国であった話です。主人公の李文さんは、重慶市沙坪八区のある文科系高校の卒業生です。今年17歳の彼女は、物心がついてからずっと貧乏な暮らしをしてきました。李文さんはとても優しい子で、「貧しい両親」に自分がほしいものをねだったことは一度もありませんでした。しかし、大学の入試前に、両親から突然「もし大学に受かったら乗用車を買ってあげるよ」と言われます。彼女はこれを機に、初めて親が金持ちであることを知ります。

『重慶夕刊』の報道によると、李文さんは5歳の時、両親と一緒に重慶市に引っ越してきました。彼女が知っているのは、お父さんは書籍販売業をしており、年に半年以上は出張販売に出かけ、時には、お母さんも一緒に行っていたということです。「貧しい家庭」の中で、李文さんは厳しい家庭教育を受けました。

6歳の時から、学校の休みを利用して、街頭で新聞売りを始めました。毎日少なくとも20部を売らなければなりませんでした。週末も家で勉強する以外に、お母さんを手伝って家事をしました。正月以外に、新しい衣服を買ってもらうことはありませんでした。家電製品以外で、家にある一番価値があるものは、両親の携帯電話でした。

李文さんが唯一両親にお願いしたことは、中学生の時、白血病に罹った同級生を助けるために寄付してほしいということでした。当時、両親は家にあるテレビを売って、1000元(約1万4千円)を寄付したといいます。

高三になった李文さんは、45人の同級生の中で、携帯電話を持っていない5人の中の1人でした。

大学入試の直前になって、両親から突然「もし上海のある名門大学の経済学部に合格したら、ご褒美として、海外旅行と乗用車を買ってあげる」と言われます。李文さんは「そんなご褒美、十数万元(1元は約14円)はかかるわよ」とびっくりしました。そして、やっとお母さんから事情を聴いたのです。李文さんが生まれる前に、両親は「この子が優しい心を持つように、貧しい環境の中で育てよう」と決めていたのだといいます。

実際は、両親は攀枝花市(はんしか-し)に炭鉱を持っており、大きな書籍販売店も経営しているかなりのお金持ちでした。

お父さんは、自分の父親が金銭のトラブルで家庭に悲劇をもたらしたことから、自分の子供は貧しい環境の中で育てることを決心したといいます。