米人気TOP10ファストフード企業への調査で動物避妊薬など検出 一部、健康被害も懸念

米国の人気ファーストフードチェーン店トップ10の食品サンプルから、2種類の動物用避妊薬と動物用抗生物質が検出されたことが、米非営利団体の発表により明らかになった。

検出された同薬物の許容量は食品医薬品局(FDA)が定める一日摂取量を下回っていたが、非営利団体は長期的な影響については不明とし、生殖に関する健康に影響を与える可能性があるとした。

調査を行ったのは非営利団体Moms Across America(MAA)。同研究所は9月、米国の人気食品チェーン10社の食品サンプルをHealth Research Instituteに提出し、100種類以上の動物用医薬品とホルモンの検査を依頼した。

チェーン店は地元のマクドナルド、スターバックス、サブウェイ、チックフィレイ、バーガーキング、タコベル、チポトレ、ダンキンドーナツ、ウェンディーズ、ドミノ・ピザの10社。

その結果、チポトレとサブウェイを除いたすべての食品サンプルから動物用医薬品が検出された。

モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン

検出されたすべての食品サンプルの薬物濃度は1キログラムあたり2マイクログラム以下であり、これはFDAの1日の許容摂取量を大幅に下回っている。

しかし、一部の人々が毎日摂取するファーストフードの場合、毒素の蓄積による慢性中毒が懸念される。

タコベル、ダンキンドーナッツ、ウェンディーズ、ドミノ・ピザ、バーガーキング、マクドナルドからは、1キログラムあたり0.5マイクログラム未満の抗生物質モネンシンが検出された。

モネンシンは一般的に使用されている動物用抗生物質で、安全域の狭い医薬品だ。動物におけるモネンシンの副作用には、食欲不振、下痢、衰弱、運動障害などがある。過剰投与では動物が中毒に陥ったり、死に至ることもある。

人間のモネンシン中毒はまれで、また臨床で使用されている有効な治療法はない。

ウェンディーズのチーズバーガーからは1キログラムあたり2マイクログラム以下のナラシンが検出された。また、ダンキンドーナッツ、ドミノ・ピザ、スターバックスのサンドイッチからも微量検出された。

ナラシンは抗生物質および抗寄生虫飼料添加物であり、肥育鶏の寄生虫感染を抑制するのに役立つ。また、乾物摂取量を増加させることから、牛の飼料に用いられることも多い。

動物におけるナラシンの副作用には、食欲不振、下痢、心臓や骨格筋の変性などがある。

イオノフォア(生体膜において、特定のイオンの透過性を増加させる能力を持つ脂溶性分子の総称)に属するモネンシンやナラシンは、毒性が懸念されるためヒトには使用されないが、これらの薬物に関する毒性の報告は数件寄せられている。

ナイカルバジン

動物用寄生虫駆除剤であり避妊薬でもあるナイカルバジンが、チックフィラ・チキン・サンドイッチのサンプルから検出された。検出されたナイカルバジンは1キログラムあたり0.5マイクログラム未満。

この薬剤は主に肥育鶏や七面鳥の抗寄生虫薬として使用されているが、ガチョウやハトの個体数制御にも使用されている。

現在までのところ、ナイカルバジンがヒトに毒性を示すという報告はないが、長期的な影響については不明である。ある研究報告書では、ナイカルバジンを与えられた七面鳥のほとんどが、市場に出回る前に同薬を分解するため、消費者には安全だと仮定している。

生殖に関する健康に懸念

MAAのゼン・ハニーカット事務局長は、「何百万人もの米国人、特に子供や若い成人が、動物性の避妊薬を毎日摂取している影響が懸念されます。不妊の問題が増加している中、これらの結果を考慮すると、この世代の生殖に関する健康は私たちの最重要課題です」と述べた。

動物用医薬品のヒトへの影響を調査した研究はほとんどない。

「それこそが問題だ」とハニーカット氏はエポックタイムズの取材に答えた。「これらは動物用の医薬品やホルモン剤のため、動物を対象とした研究しかありません。しかし、人間には認可されていないのに、食品に混入しているのです」

「毎日これら食品を摂取している人もいるので、どれだけ体内に蓄積されているかはわかりません」

他のファーストフードチェーン店は?

ハニーカット氏は、各ファーストフードチェーン店から一種類の食品サンプルしか検査をしていないため、他のチェーン店でも同様の動物用医薬品を含む食品を提供しているかどうかを知るためには、さらに検査を行う必要があると述べた。

しかし、ハニーカット氏は、他のチェーン店にも影響があるのではないかと疑っている。

「私の理解では、加工肉のパテを作るために何百羽もの鳥の肉を粉砕しているのです。ですから、1羽が汚染されていれば、他の数百羽のサンプルも汚染される可能性があります」

エポックタイムズは、報道されたファストフード・チェーン店にコメントを求めたが、本記事掲載までに返答は得られなかった。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。