ガーダシル導入から2年以内に32件の死亡報告 平均年齢は18歳

子宮頚がん予防のHPVワクチン接種後の明らかな死亡事例(中)

コクランレビュー、HPVワクチン接種者の死亡率上昇を指摘

コクランレビューによる最新の報告では、HPVワクチンを接種した集団の死亡率が、比較対象群と比べて高いことが明らかにされました。特に、25歳を超える女性の場合、死亡率は2.36倍に跳ね上がっています。

この衝撃的なデータは、報告書の「Table Summary of Findings 3」のp10に掲載されており、p36ではさらに、「3つの試験に参加した中年女性の死亡例を総合すると、HPVワクチンを受けた者がプラセボを受けた者に比べて致死率が高い」との記述があります。

報告書はまた、「中年女性のワクチン群での死亡数の増加は、死因や死亡のタイミングに特定の傾向がないため、偶然の可能性がある」と指摘しています。研究報告によれば、死亡がワクチン接種に直接関連しているとは考えられていません。

通常の安全性分析では、各研究における死亡例について、HPVワクチンの関与に関する詳細な分析が求められます。年齢、性別、ワクチン接種から死亡までの期間、死因などが詳細に記載されるべきです。

しかし、このレビューではそうした詳細な分析は見当たらず、あるのは単純な情報を提供する表のみです。

これらの死亡事例の因果関係は依然として不明であり、さらなる調査と死因の究明が求められます。

血管炎による悲劇

自己免疫疾患である血管炎は、免疫系が誤って自身の血管を攻撃することで起こる血管の炎症です。

2012年、「Pharmaceutical Regulatory Affairs: Open Access」誌に掲載された研究論文は、HPVワクチン接種後に発生した2件の死亡事例を報告しました。

この研究は、HPVワクチン接種後に起こった重篤な自己免疫性および神経学的副作用が偶然か因果関係にあるかを判断し、重篤な神経学的転機の因果関係を評価するプロトコルの有効性を検証することを目的としています。

ガーダシル接種後に脳血管炎の症状を示した2人の若い女性の死後脳組織が、免疫組織化学法(IHC)を用いて、様々な免疫炎症マーカーについて調査されました。

IHCは、組織内の抗原と抗体が結合する原理を利用し、特定の物質(例えばタンパク質)を顕微鏡レベルで染色する技術です。この着色方法によって、組織が顕微鏡下で観察可能になります。

以下の事例では、HPVのタンパク質が識別のために染色されました。脳の断片には、ガーダシルに含まれるHPV-16L1及びHPV-18L1抗原を検出するための抗体染色も施されました。

2件の症例に関する医療履歴とIHCの結果は、以下の通りです。

症例1:19歳女性の死亡例

報告には以下のようにあります。

「医療履歴に特記事項がなく、薬物を服用していなかった19歳の女性が、3回目の4価HPVワクチン接種後約6か月で、睡眠中に亡くなりました。前夜に両親が最後に彼女の生存を確認しています」

「症状は最初の4価HPV注射後に手にイボが現れたことから始まり、ワクチン接種期間を通じて続きました。また、彼女は説明しがたい疲労感、筋力低下、高心拍数、胸痛、手足のしびれ、イライラ、精神的混乱、記憶喪失の期間を経験しました」

報告によると、標準的な検死では何も異常は見られず、この若い女性の死因を明らかにすることはできませんでした。

症例2:14歳女性の死亡例

報告には以下のようにあります。

「偏頭痛と経口避妊薬の使用歴があった14歳の女性が、最初の4価HPVワクチン接種後14日で、より重度の偏頭痛、言語障害、めまい、脱力感、歩行不能、意識低下、混乱、記憶喪失、嘔吐を発症しました。これらの症状は徐々に改善しました」

「しかし、2回目の4価HPVワクチン接種から15日後、彼女はシャワーを浴びるために浴室に入ってから30分後に母親によって浴槽で意識不明の状態で発見されました。緊急隊が呼ばれ、迅速に対応しましたが、救急隊員は患者が脈のない状態で発見されたと報告しました。病院到着後約30分で心停止が発生し、約40分後に蘇生が中止され、患者は死亡と宣告されました」

症例1と同様、標準的な検死では死因を特定できませんでした。

「検死では脳浮腫と小脳ヘルニアが確認され、血液脳関門の局所的な破壊が示唆されました。(中略)小脳のプルキンエ細胞には好酸性の変化があり、その上の分子層には空胞化が見られました」

この研究結果は、通常は有害物質が血液から脳に入るのを防ぐ重要な構造である血液脳関門の局所的な破壊を示唆しています。さらに、運動と調整に不可欠なプルキンエ細胞と分子層が関与する特定の部分で、小脳に何らかの損傷や変性が起こったことを示唆しています。

両症例におけるIHC分析は、以下の死因を示しています。

「私たちが実施したIHC検査により、4価HPVワクチンのガーダシルを接種後に亡くなった2人の若い女性の脳組織から、交差反応性HPV-16L1抗体が脳血管の壁に結合し、自己免疫性の血管炎を引き起こした強力な証拠が明らかになりました。また、脳血管内にHPV-16L1粒子が存在し、その一部が血管壁に付着していることも確認されました」

決定的な証拠:HPVワクチン成分-16L1

研究者たちは、HPV-16L1抗原を含むHPVワクチンが自己免疫性の血管炎を引き起こす固有のリスクを持つと結論付けました。

主要カプシドタンパク質であるL1はHPVの主要な膜タンパク質で、16L1はHPVの16型に属します。

2人の死亡例において、IHC分析は、調査された全ての脳サンプルで脳血管の壁に結合する交差反応性のHPV-16L1抗体によって引き起こされる可能性のある自己免疫性の血管炎の証拠を示しました。

これは、HPVワクチン由来の免疫複合体が血液脳関門を越える能力を持っていることを示す重大な問題です。

フランス国立保健医学研究所(INSERM)の研究者らは、注射後に白血球に取り込まれたアルミニウムアジュバントナノ粒子がリンパ節を経由して血液脳関門を越え、最終的に脳に蓄積し、重大な免疫炎症反応を引き起こす可能性があるというエビデンスを論文で発表しました。

そのため、ガーダシルワクチンを接種した2人の若い女性の脳血管内にHPV-16L1粒子が存在することを説明できる作用機序は「トロイの木馬」のようなものかもしれません。つまり、アルミニウムアジュバントがリンパ節を通過し、血液脳関門を越えて16L1粒子を脳組織に運び込むという作用機序であり、これは循環するマクロファージに依存しています。

また、IHCは両方のケースで脳血管組織におけるT細胞シグナル伝達の増加と、標準的な抗体依存性補体経路の顕著な活性化を示しました。この補体活性化のパターンは、活動中の脳感染がないにもかかわらず、免疫攻撃が自己組織に向けられる異常な免疫応答を引き起こしていることを示しています。

まとめ:
ガーダシルに含まれるHPVのウイルス様粒子、特にHPV-16L1は、アルミニウム製アジュバントに吸着し、注射後に単球によって取り込まれます。これらが最初リンパ節に運ばれ、血液脳関門を越えて脳に蓄積し、深刻な免疫炎症性の副作用を引き起こしうることは、2件の死亡例から明らかです。

これは何を意味するのか?

ガーダシルが、一部のケースで致命的な自己免疫性または神経学的イベントの引き金になる可能性があることを示唆しています。医師はこの関連性を認識し、注意深く監視する必要があります。

脳血管炎は重篤な疾病であり、診断や治療がなされない場合、通常は致命的な転機を招きます。

HPVワクチン接種後に報告された多くの症状が脳血管炎を示唆しているにもかかわらず、激しい持続性の頭痛、失神、発作、震えやピリピリ感、筋肉痛、運動障害、精神症状、認知障害などは認識されていません。しかし、現在の発見を踏まえると、それらは深刻な問題です。

(下)につづく

エポックタイムズのシニアメディカルコラムニスト。中国の北京大学で感染症を専攻し、医学博士と感染症学の博士号を取得。2010年から2017年まで、スイスの製薬大手ノバルティスファーマで上級医科学専門家および医薬品安全性監視のトップを務めた。その間4度の企業賞を受賞している。ウイルス学、免疫学、腫瘍学、神経学、眼科学での前臨床研究の経験を持ち、感染症や内科での臨床経験を持つ。