命運を決める

雑念を除き、よい考えを「選択」するには?

2017年11月28日 07時00分

 本を買うお金もないほどの貧困家庭に生まれながら、苦労を重ねて難関大学に入学し、独学で弁護士の資格を取得した台湾の許峰源(シュイ・フォンユェン)氏。コンサルタントや金融企業の顧問を経て、今は作家として活躍している。台湾で知らない人はいないほどの有名人となった許氏が、「運命を決める考えの見極め方」を語る。


 プロ野球選手は、体が大きく筋肉がついていて、強い打球を遠くに飛ばすことができればいいわけではありません。ボールを見極める力を持つことも条件の一つです。投手は多種のボールで打者を惑わし、三振やアウトへ導こうとしますが、打者は自分に向かってくる各種の球を見定めて「ストライク」のみを選んで打とうとします。選球眼の優れた打者は「ボール」に惑わされることなく、逆に投手に「ストライク」を投げるように仕向けることができます。それによって打率を上げ、チームを勝利に結びつけるのです。

 イチローが最も良い例です。所属する球団以外のすべての投手は彼と対面すると頭が痛くなります。何故なら、彼は「ボール」には動ぜず、「ストライク」を見逃さないからです。イチローは、どんな変化球に対しても自分のストライクゾーンに入ってからバットを振るか否かを決めます。彼の凄さというのは、その時には、ボールの飛ぶルートや回転状況などをすでに把握していることです。

 選球する力が打者の能力を決定するのと同じように、実は自分の中にある、くるくると変わる考えを如何に選択するかによって自分の運命は決まってきます。

 私たちは四六時中、何かを考えています。次々とあらゆる考えや雑念が湧いて来て瞬時に変化します。しかし、沢山の考えがあっても「瞬間」には一つの考えしか持てません。

 人の行動はその人の考えが原動力となって実現するので、良い考えは良い行動を導き、良い結果をもたらします。反対に、良くない考えは良くない行動につながり、良くない結果となります。では、どのようにすれば良い結果をもたらすのでしょうか?つまり、良くない考えを意識的に切り捨てるように訓練し、普段から良い考えだけを捉えて行動すればよいのです。すると、自ずと良い結果、良い人生に結びつきます。イチローのように「ボール」を見極め、振り回されずに「ストライク」だけを掴まえるのです。

 何かの考えが一旦現れたら、それが自分の人生において最終的にどんな結果をもたらすのか、幸せを感じられるのかそれとも後悔が残るのか。良いことか悪いことか、不安を感じるのかなど、自分の中で掘り下げて真剣に熟考することです。そのように訓練し続け、良い考えを見極める「選択能力」を養うことが肝要です。

 そして、訓練によって「選択能力」が強くなると、徐々に「雑念」が少なくなることに気づくでしょう。常に「良い考え」だけを見つめ、「良くない考え」を無視すると、マイナスのものは自然と消えてなくなります。そこに現れた全ての「良い考え」は自分にとって最も貴重な道しるべとなるのです。

(文/許峰源 翻訳/豊山)


許峰源(シュイ・フォンユェン):貧困家庭に生まれ、一家8人で20畳ほどの部屋に26歳まで暮らした。小学校4年生の時、本を買うお金がなかったため、本屋で毎日立ち読みをし、本だな一杯の偉人の伝記を読みあさった。弛まぬ努力で台湾大学法学部を卒業し、同年に弁護士資格を取得。25歳で法律事務所を設立、27歳で国際登録金融コンサルタント協会(IARC)の資格を取得。法律事務所所長、金融企業顧問、塾の講師、法律専攻の大学院生と多忙にしていた。26歳で母親のガン療養のために家を購入。28歳で最初の著書を出版し、台湾で大きな反響を呼んだ。その後、執筆業に専念する。現在35歳、年収数千万円。作家としてTEDやテレビ、講演会などで活躍中。

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