「結婚70年目の幸せ」夫婦円満の秘訣は何でしょう?

94歳のウォルフレッドと89歳のアイリスは、結婚70年になる「おしどり夫婦」です。

ともにイングランド出身の二人が初めて出会ったのは20世紀の中頃、1940年代の後半でした。

イングランド中部のウォルソール近郊で開かれたダンスパーティの会場で、ウォルフレッドの目にふと留まったのは、岸辺に咲く一輪の花のように愛らしい少女でした。アイリスという名前を聞いて、その姿の通りだと思ったのです。

「私はそこで、彼女をダンスに誘いました。もちろん彼女は承諾しました。以来、彼女はずっと私から離れていません」

この夫婦は、70年の幸せな時間をもたらしたプロポーズの瞬間を、よく覚えていないと言います。アイリスによれば、「いつかの土曜日の夜だったかしら。一緒にお茶を飲んでいた時、ウォルフレッドが私に、結婚しないかと聞いただけかもしれません」とのこと。

しかし、アイリスはあのダンスパーティの夜、初めて会った「未来の夫」に一目ぼれしたことをはっきり覚えています。

「私はその時、ああこの人だわ、私に合っている人は、と思いました。それ以来、私は決して他の男性を望んでいません。結婚までの数年、私はずっと彼を思い続けていました」

1951年3月10日、二人は地元の教会で結婚し、小さなカフェで披露宴を行いました。

そのころ洋裁師だったアイリスは、新婚旅行に着て行くシルクサテンのワンピースを自分で縫い上げたことを、当時の甘美な思い出として大切に記憶しています。

新婚夫婦は「二人きりの世界」を約10年間、楽しく過ごしました。その後、娘のジェーンと息子のロバートを授かります。今では孫が6人。曾孫は、増え続けているので何人だか分からないそうです。

幸い仕事も順調で、野菜や果物を販売するショップをはじめ、夫婦で力を合わせて複数の事業を展開しました。

自分の店や自宅で一緒に過ごす時間が長かったため、仕事上のことで夫が妻に小言を言ったり、あるいはその反対だったり、ときには口論になったりもしましたが、そうした時間の全てが夫婦にとって有意義であったようです。

「私は今でもウォルフレッドを愛しています。彼が不機嫌な時も、私は彼の小言を聞いてあげたいと思うのです」

その言葉に続けて、妻は70年連れ添った夫に向かい、こう語りかけました。

「ウォルフレッド。あなたは皆のために、多くのことをする義務があるわ。しかもそれは、必ず愛を込めて行わなければならないの。だから私たち夫婦は、お互いに耐えながら努力し、支え合っていきましょうね」

妻の言葉を受けて(あるいは全く聞いていなかったかも知れませんが)夫は、夫婦円満の秘訣について、こう続けました。

「たとえパートナーが自分と異なる考えを持っていたとしても、誰も皆違うことを受け入れなければならない。ケンカをしてはいけないし、心に恨みを抱いたままベッドで寝てもいけないのです。これは誰にとっても良いことではありません。それが私から皆さんへの最も重要なアドバイスです」

夫妻の息子であるロバート氏によると、二人は聴覚が弱くなっているので、はっきり聞こえているわけではないが、二人の間には、それで互いに理解できる「鋭敏な感覚」があると言います。

(翻訳編集・鳥飼聡)