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パリのせい火リレーでランナーを襲撃する男性=中国のネット上で犯人捜しが行われ、米国のチベット人活動家の氏名や電話番号などが公表されたが、本人は否定し声明文を本紙に発表した

チベット人ロブサン氏:私は中国人女性障害者ランナーの襲撃者ではない

 【大紀元日本4月17日】米ユタ州ソルトレークシティー在住のロブサン・ゲンダンさん(Lobsang Gendun)は現地時間4月12日、自身が一夜でインターネットサイトの「有名人」になったことに気づいた。名前、自宅住所、身分、職場の住所、自宅の地図、車の写真などがすべて何者かによってネットサイトで公開されていたのだ。この日、ゲンダンさんは、中国国内と米国現地の華人から多くの嫌がらせ電話とメールに悩まされたのである。

 これらの電話とメールは、彼がチベット独立運動の暴徒と人間のクズと罵倒し、パリでの北京五輪のせいかリレーで、ランナーである中国人女性選手、身体障害者の金晶さんを襲撃した、などと非難している。

 44歳のチベット人ロブサン・ゲンダンさんは現地の宝飾関係の会社に勤務し、チベット亡命政府駐米国事務局のユタ州支局長も務めている。ゲンダンさんは、電話取材で次のように語った、「人違いだ。私は金晶さんを襲撃していない。サンフランシスコでのリレー抗議活動に、私は確かに参加したが、しかし、私はずっと米国に留まっており、ロンドンとパリにはまったく行っていない」。

 4月10日、中国の政府メディアの「新華社」と中央電視台(CCTV)は、上海出身の障害者スポーツ選手金晶さんがパリでせい火リレー中に、「チベット独立運動の暴徒」から3、4回の襲撃を受けたと報じた。チベットの旗を頭に被った「チベット独立運動の暴徒」が、車イスの金晶さんからトーチを奪おうとする写真が、一夜で中国国内の各大手新聞紙とインターネットサイトに転載された。障害者である金晶さんが「身を捨て」トーチを守ろうとする姿が、国内外の中国人の高まる愛国感情をさらに激発した。怒りに満ちた中国人ネット利用者は、「天地の果てを探し尽くしても、彼女を襲撃した暴徒を割り出す」、などの意気込みのメッセージを発信し、一部のサイトは、「全世界で金晶さん襲撃の悪人を指名手配」などと呼びかけている。

 中国のインターネットサイトの輿論の力とネット利用者たちの行動能力はその後の数日間において、十分に証明された。2日間のうち、頭にチベットの旗を被った襲撃者の写真がフランスにいる中国人留学生の協力で見つかった。しかし、これらの写真を見る限り、この男性が中国の国旗を掲げている中国人留学生と良好な関係を保ており、しかも同じ団体に属している、との印象が読み取れた。このことが中国人ネット利用者の間に大きな論争を巻き起こし、疑念をもたらし始めた(本サイト4月12日報道「五輪トーチ中国人ランナーを攻撃したチベット人らしき男性、偽装か」参照)。

 大勢のネット利用者が、今回の襲撃シーンはまたもや中国当局が自作自演したペテン劇ではないかと疑い始めたところ、4月13日、「金晶さん襲撃の暴徒の詳細情報が見つかった」との書き込みが何者によって北米の華人ネットや、中国国内の各サイトで出現している。暴徒はチベット亡命政府駐米国事務局のスタッフ、米国ユタ州ソルトレークシティー在住のロブサン・ゲンダンさん、と絞り込まれた。同氏の電話番号、メールアドレス、自宅住所、勤務先などの情報がネットサイトで公開された。該当の書き込みは、「このバカはロンドンのリレーでランナーを襲撃したため逮捕されたばかりだが、すぐにまたパリに現れて騒ぎを起こした。イギリスの警察がすぐに彼を釈放したもようだ」などと書いている。

 4月13日、大紀元の記者が上記のネットサイトで公開されている番号に電話をかけ取材した。1時間後にようやく通じた。電話の向こうから冷静な男性の声が聞こえてきた。記者は間違ったのではないかと、一瞬疑っていた。

 「いや、間違ってはいない。私はネットサイトで公表されているロブサン・ゲンダンである。今晩、私はたくさんの嫌がらせ電話を受け、相手からはたくさんの罵声を浴びせられた」と、ゲンダンさんは語り始めた。

 それによると、彼はサンフランシスコでの北京五輪せいかリレーへの抗議活動には参加した。しかし、ロンドンや、パリには行っていないし、行く経済な余裕もないという。

 「私の言うことを信じてください。なにも隠す必要がない。もし私がウソをついているならば、私は恐れを感じる。真相を言っているので、いかなる恐怖も感じていない」と本人は語った。

 また、同氏は、「確かに私は中国当局に抗議の意を示している。しかし、中国国民に対するものではない。彼らは私の兄弟姉妹である」と心情を説明した。

 「金晶さんからトーチを奪おうとする人はチベット人であるかどうか」との記者の質問について、同氏は、「チベット人ではないと思う。海外のチベット人は暴力的な抗議に反対している。中国国内のチベット人は、暴力的な抗議手段に出るのは考えられる」と答え、その理由について、「彼らは長期にわたり抑圧され、信仰の自由と権利が完全に剥奪されている。中国共産党が政権を確立してから、チベットで120万人を殺してきたからだ」と分析した。

 後に、同氏は大紀元時報にメールを送り、次の声明文を中国人読者に伝えるよう依頼した。

 ゲンダンさんの声明文は次の通り。

 私は中国国内および米国在住の華人からたくさんのメールと電話を受けた。彼らが人間違いしていると痛感している。なぜならば、私はパリで北京五輪のトーチを奪おうとしなかった。その時刻では、私は米国に留まっており、しかも、米国から離れてもいない。

 しかし、確かに私は中国当局に抗議したい。中国国民ではない。彼らは私の兄弟姉妹である。私が抗議したい理由は、チベットと中国には人権を有するべきと願っているからだ。チベット人と中国の国民は皆信仰、表現、言論、教育、人権の自由を享有できることを望んでいる。

 私は中国語メディアに伝えたいのは、あなたたちは人違いしている。無知なる人々に伝えてください。電話やメールで私に嫌がらせをするのを止めてください。

 私はあなたたちを愛している。中国の兄弟姉妹たちよ、私はあなた達に反対したことがない。私が反対しているのは共産党専制である。目を覚ましてください。私の兄弟姉妹よ、もうその時期が来ている。

ロブサン・ゲンダン
2008年4月13日午後零時22分(米国太平洋夏時間)

※声明文の原文は次の通り。
I am receiving thousands of emails and phone calls from both mainland China and chinese in U.S. I have a strong feeling that they got the wrong person because it was not me who grabbed the olympic torch in London. I was in U.S. and never went out of country.
But I do protest against chinese government but not the people of china. They are my brothers and sisters. I protest because I want human rights in Tibet and China. I want people of Tibet and China freedom of religion, freedom of expression, freedom of speach, freedom of education, freedom of human rights.
I want to tell the chinese media that you are accusing a wrong person and tell your ignorant callers stop harrassing me through phone calls and emails.
I love you chinese brothers and sisters. I have nothing against you but it is the communist regime. Wake up my brothers and sisters, the time has come.

Thank you.
lobsang gendun
Sun, 13 Apr 2008 12:22:40 -0700 (PDT)


(記者シンリー・ショー、翻訳・叶子)

 (08/04/17 08:49)  





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