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1970年4月コロンビア大学でのパブロ・カザルス氏(Photo /AFP/Getty Images)

20世紀最高のチェリスト、パブロ・カザルスの「断る勇気」

 【大紀元日本9月28日】

 パブロ・カザルス(1876~1973)、スペイン生まれの20世紀最高のチェリスト。彼はチェロの近代的奏法を確立し、練習曲と考えられていたJ.S.バッハ作「無伴奏チェロ組曲」の価値を再発見し、チェロに新しい命を吹き込んだ。しかし、パブロ・カザルスが有名なのは優れた音楽家としてだけではなく、生涯、自分の信念を貫くため、断る勇気を持ち続けたことでもその名が世に知られる。

 カザルスが幼少の頃よりピアノ、オルガン、ヴァイオリンを学び、10歳の時は既にJ.S.バッハ作「平均律クラヴィーア曲集」の48の前奏曲とフーガを制覇。11歳の頃、チェロと出会い、16歳の時、摂生女王の奨学金を得て、マドリード音楽院で学ぶが、後に、当時のチェロの名教授に師事するため、マドリードで約束された裕福な生活を断り、ブリュッセル音楽院を訪れた。しかし、ブリュッセル音楽院の院長に認められたものの、傲慢、無礼な教授の態度にカザルスが反感を覚え、ここでも1年間の奨学金を断り、パリに行き、ミュージック・ホールの第2チェロ奏者として、質素な生活を送る。

 1936年、スペインで内戦が勃発すると、カザルスはフランスに亡命。スペインとの国境に近いプラドに隠棲し、生涯、フランコ独裁政権への抗議と反ファシズムの信念を貫いた。第2次大戦中、ファシズムのドイツでの演奏を断り、さらに、フランコ政権と国交を持つイギリスでの演奏も断った。1950年、アメリカ政府がフランコ政権を認めたことに抗議し、アメリカでの演奏も断り続けた。

 一方、公開演奏を停止し、プラドに隠棲したカザルスのもとに、世界中から多くのチェリストがレッスンを受けるためにプラドを訪れた。また、1950年から、世界各地の一流音楽家がプラドに集結し、カザルス音楽祭が開催されるようになり、今日に続く。

 人間の尊厳、人道、信念を守るため、断り続けた巨匠。そんな20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルスの深い精神性を感じさせる演奏は、これからも人々に愛され続けるだろう。

(翻訳編集・心明)
 

 (09/09/28 05:00)  





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