国際金価格は、史上最高値からやや下落したものの、依然として1オンス当たり4,000ドル前後という歴史的な高水準を維持しています。金は今や、単なる「安全資産」という位置づけを超えつつあります。
CNBCの報道によると、金の価値がかつてない水準にある中で、世界の超富裕層は従来の考え方を大きく転換し始めているといいます。金庫に保管した金地金をただ眠らせておくのではなく、「ゴールドリース(黄金の貸し出し)」を通じて、安定的なキャッシュフローや収益を得ようとする動きが広がっています。
眠っていた資産を「生む資産」へ
一般的に、金は利息や配当を生まない「非収益資産」とされ、リターンは価格上昇によるキャピタルゲインに限られてきました。しかし、金価格の高騰が続く中で、富裕層の間ではこうした固定観念が崩れつつあります。
Monetary Metalsの創業者兼CEOであるキース・ワイナー氏は、「人々は、ただ金を買って価格が5,000ドルになるのを待つだけではなくなりました。金を保有すると同時に、『いかに手持ちの金で収益を生み出すか』を考えるようになったのです」と述べています。
市場データも、この新たな潮流を示しています。レンタルプラットフォームのSafeGoldでは、わずか数カ月で貸出残高が200万ドルから4,000万ドルへと急増しました。提供されているリース利回りも魅力的で、無担保の貸し出しでは年利最大4%に達し、利息は金で支払われます。
富裕層にとって、ゴールドリースには主に三つのメリットがあります。これまで収益を生まなかった資産から、安定した収入を得られること、収益を金で受け取るため、通貨価値下落のリスクを抑えられること、そして、金を売却することなく、その価値を活用して収益化できることです。
また、この市場が拡大している背景には、金のサプライチェーンを構成する精錬所、宝飾メーカー、製造業者など、資金調達ニーズの高い下流企業の存在があります。
見逃せないリスクと対策
一方で、利回りが魅力的である反面、ゴールドリースには一定のリスクも伴います。借り手が期限通りに金を返却できなかったり、不正行為が発生したりする可能性も否定できません。
こうしたリスクを懸念する超富裕層を取り込むため、プラットフォーム側には、物理的な金の検証、高度な追跡技術、24時間体制の現地監視など、極めて厳格な管理体制が求められています。
世界各国の中央銀行による大量購入や地政学的リスクの高まりを背景に、金は安全資産としての地位をさらに強めています。その一方で、急成長を遂げているゴールドリース市場は、富裕層にとって「インフレに備えつつ、パッシブインカムを得るための有力な選択肢」として、大きな魅力を持つ存在となっています。
(翻訳編集 正道勇)
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