THE EPOCH TIMES

「恐るべき人肉捜索」に怯え 中国の官員、ネット恐怖症か=政府誌調査

2010年05月11日 07時17分
 【大紀元日本5月11日】中国の官員は今、「ネット恐怖症」にかかっているようだ。使用する高価なタバコと時計が誰かにネット上で明かされたことがきっかけで賄賂問題が発覚し、11年の判決を言い渡された南京市元不動産管理局局長の周久耕。多数の女性との親密な関係を赤裸々につづった日記を誰かにネットで公開され、ネット利用者による「人肉捜索」(※)に遭い身元が明かされ、免職に追い込まれた広西自治区のタバコ専売局局長の韓峰。インターネット利用者が事件の真相の追究またはある人物の特定を行う「人肉捜索」などのネット調査によって失脚する幹部が相次ぐ中、金銭問題や女性問題などスキャンダルまみれの幹部らは、いつ自分が標的になるのかと、戦々恐々している。

 「宣伝部長と県委書記、恐怖症に最もかかやすい」

 政府系雑誌『人民論壇雑誌』がいくつかのポータルサイトでネット利用者に、「現代中国官員のネット恐怖症」をテーマにアンケート調査を行い、「ネット恐怖症にかかっている官員の割合」、「ネット恐怖症に最もかかりやすい官員の階級」、「ネット恐怖症の症候」などの質問を行った。調査はネット利用者の間で大きな反響があり、3日間で、党と政府幹部約300人を含むネット利用者6243人が、アンケートに答えた。

 その結果、70%の回答者は今どきの幹部は「ネット恐怖症」にかかっていると思っているという。

 最も怖がることについて、6割の回答者が「仕事への怠慢や汚職が晒され、出世に影響する」を選び、3割の回答者が「プライバシーが暴露される」を選んだ。 

 また、恐怖症にかかりやすい官員の階級について、党の宣伝部長と県委書記というポストに就いている幹部は「症状が最も深刻」とされた。

 恐怖症にかかった幹部たちの症候として、次の三つが挙げられた。▼メディアの監督を無視、情報の発信者にリベンジ、▼告発に対して対応せず、ネット利用者の反感を更に招いた、▼メディアの監督に怯えて過剰反応をする。

 88%の回答者は、幹部がネットに怯えることについて、「良いこと」とし、歓迎の姿勢を示している。

 党の宣伝部長と県委書記というポストの幹部が「症状が最も深刻」との結果について、江蘇省のある県の宣伝部長は、「宣伝の仕事はうまくできるか否や、その地方のイメージと本人の業績に直接関係しているため」とコメントした。

 「ちょっと気を緩めたら、マイナス情報がネット上に公開されてしまう」、「大きな圧力を受けている」と同幹部は話す。同氏によると、ネット上で発表されたマイナス情報についてネットメディアと対応したことがあり、情報の削除を求めたが、すでに多くなブログや地方掲示板に転載されてしまい、「削除しきれなかった。地方のイメージに大きなダメージを与えた」という。

 一方、一部のネット利用者は、官員自体の汚職が問題の根源であり、幹部は汚職しなければ、却ってネットの力でポジティブな宣伝作用が果たされるのでと指摘する。

 恐るべき「人肉捜索」

 中国では昨年から、官員たちのスキャンダルがネット上で漏れたことがきっかけで失脚した事件が続出している。数々の汚職幹部の検挙に一役を買った「人肉捜索」は2008年の流行語にも選ばれた。

 前述の南京市と広西自治区のケースのほか、2009年10月末に発生した深セン市海事局の林嘉祥(リン・ジアシアン)副局長による少女わいせつ事件も広く知られている。レストランで少女をわいせつした林副局長は、少女の親に「おれがやったよ。いくら払えばいいの?おれは北京交通部のもの、お前らの市長と同レベルだ。おれを邪魔するやつにはいつかやり返してやる」などの暴言を吐いた。この様子がレストランの監視カメラに記録され、ネット上に流出した。その後の「捜索」により、同幹部の身元が突き止められ、まもなく免職となった。

 前述の南京市の不動産管理局局長の周久耕は摘発された後、法廷で「ネットの力は恐るべし」と語ったという。

 ネットの力で失脚する幹部が相次ぐ中、江蘇省徐州市は2009年、「人肉捜索」を禁止する条例を制定したが、汚職幹部を守るためではないかと疑問の声が高まり、同省政府も「幹部はネット調査に耐えられるようになるべきだ」と幹部らに異例の注文をつけた。

 ※「人肉捜索」:中国のインターネットで人気をよんでいる掲示板。「人肉」は「人力で」、「捜索」は「ネット検索」を意味している。必要な情報をみんなの手で探して公開するということから始まった。次第にそれが関心のある人や物などについての情報交換へと代わり、2006年ごろからは標的にした人物の個人情報を暴く形に変わってきた。そのやり方がネット上で大勢の人間がよってたかって暴き出すというものなので論議をよんでいる。政府の統制のもとで既存メディアが報じない不祥事や腐敗をあぶり出す一方で、思わぬ中傷や非難を浴びせられる市民もいて、「両刃の剣」といわれている。 (JapanKnowledgeより)

(翻訳編集・高遠)


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