蘇東坡と東坡肉

【大紀元日本9月24日】「東坡肉」(トンポーロウ)の考案者は、北宋の政治家で唐宋八大文学者の一人・蘇軾(そしょく)(1036-1101)である。蘇軾は、流罪となった時に東の丘陵地域の東坡に小屋を建て、自らを「東坡居士」と称したことから、蘇東坡(そとうば)の名称で親しまれるようになった。

蘇東坡は、四川省眉山の出身で、母の影響を受け、子供のときから料理に興味があったという。昇進してからも、各地に赴任するたびに、現地の食材を生かして、さまざまな料理を独創した。例えば、「竜井蝦仁」(杭州竜井茶とエビの炒め物)、「宏志鶏」(鶏のから揚げ)、「東坡魚」(煮魚)などがある。そして、最も有名なのが「東坡肉」である。

湖北省の黄州に流罪となった蘇東坡は、そこの豚肉が非常に豊富で安いにもかかわらず、現地の人たちの料理が下手で、美味しくないことに気付いた。そこで、蘇東坡は自分の美食の経験を生かして、美味しい豚の蒸し煮料理を考案した。これが「東坡肉」の原型である。

1089年、蘇東坡が杭州に赴任したとき、雨季に氾濫する「西湖」の問題を解決するために、民衆を率いて湖の土手を作り上げた。これにより、田んぼの水量が安定するようになり、農業生産も上がり、農民たちは蘇東坡に感謝した。年末になって、農民たちは感謝の気持ちを表すために、たくさんの豚肉や酒を蘇東坡に献上した。そこで、蘇東坡は民衆の労をねぎらうために、家で宴会を開いて農民たちを招待した。そこで出された料理の一つが、蘇東坡が自ら考案した豚の蒸し煮料理だった。これを食べた農民たちは、この料理のおいしさと蘇東坡の優しさに感銘し、この料理を「東坡肉」と呼ぶようになったという。

東坡肉(トンポーロウ)の作り方

材料(6人分)

皮つき豚バラ肉750g、白葱25g、生姜25g、醤油75g、紹興酒125ml、氷砂糖25g

作り方

1.皮付き豚バラ肉はかたまりのまま、たっぷりの熱湯で3-5分間ゆで、皮をとり、水をかけてアクを洗い流す。

2.土鍋に竹の皮で編んだザルを敷いて、その上に押しつぶした白葱と生姜を敷く。

3.豚肉の皮の面を下に向けて白葱と生姜の上に置いて、醤油、紹興酒、氷砂糖を入れる。

4.火にかけて沸騰してからは、水蒸気が漏れないように、鍋の蓋の周囲を密封して、弱火で2時間蒸らす。

5.できた肉を陶器の器の中に移して、油を除去した鍋の中の汁を器の中に入れて、鍋でさらに1時間蒸してできあがり。

特徴

長時間加熱するので、肉の余分な脂が抜け、柔らかくて色と味が濃厚な一品である。また、コラーゲン質もたっぷり含まれているので、美容にもいい。