ダ・ヴィンチの名画「受胎告知」、50万人を魅了

【大紀元日本5月24日】3月20日から東京国立博物館で開かれている「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」特別展の入場者数が、5月18日で50万人を超えた。本展で最も注目を集めているのが、本邦初公開の「受胎告知」で、1974年の「モナ・リザ」と同じく、通称「特5(とくご)」と呼ばれる本館特別5室に展示されている。

並んで入場を待つ多くの来場者(呉麗麗撮影/大紀元)

「受胎告知」は、イタリアのウフィツィ美術館所蔵の至宝で、ロイター3月16日の報道によると、日本への輸送について、「海外へ運搬するには繊細かつ貴重な作品」だとして、イタリア国内で約300人の議員と美術専門家による貸し出し反対の署名が行なわれたが、フランチェスコ・ルテッリ文化相が、作品を貸すことは「イタリアにとっていいこと」だと述べたことから、日本での公開が実現したもの。

ダ・ヴィンチの67年にわたる生涯(1452-1519)で、「ほぼ完成に至った作品」といわれるのはわずかに十数点しかなく、その中で、後世の加筆などもなく厳密な意味で完成品といえるものは、「最後の晩餐」と「受胎告知」の2点だけだといわれている。

「受胎告知」は、フィレンツェのヴェロッキオの工房で修行していたダ・ヴィンチが、一人前の親方として認められたばかりの20歳のときに描いた最初の単独作品で、彼の創造世界の原点とも位置づけうるものである。

『新約聖書』の記述に基づくこの作品では、横長の画面右に庭で読書する聖母マリアが、左には聖母マリアが息子イエスを受胎したことを告げる天使ガブリエルが描かれている。端正なマリアの表情からは、神の意思を受け入れる静かな決意の中にも内心の感情の高ぶりと母親になろうとする喜びがにじみ出ている。一方、手に百合の花を持ち、地面に片膝を立てて跪くガブリエルの美しく柔らかな表情からは、聖母マリアに対する誠実で敬虔な気持ちが見てとれる。

また、この作品には、「万能の天才」とよばれたダ・ヴィンチにふさわしく、秩序正しいシンメトリー構図や空気遠近法、衣服のひだに見られる優れた立体描写などの卓越した技量や、草花や木々、天使の羽の正確な描写に見られる自然界への関心が数多く盛り込まれている。

ダ・ヴィンチは、30歳のころから、天文、建築、鳥の生態、人体構造など、様々な分野について数多くの手稿を残しており、今回の特別展では、それらの手稿から考証した模型や映像も併せて展示されており、「万能の天才」ダ・ヴィンチの思考の展開、ならびにそれらが絵画に与えた影響を見てとることができるであろう。

ダ・ヴィンチパリ手稿B及び鳥の飛翔に関する手稿に基づく模型「鳥人間」(張本真撮影/大紀元)

本特別展の会期は6月17日まで。

(本特別展の公式HPを参照http://www.leonardo2007.jp/)