伝統的芸術が語る美とは何か (上)

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「本当の芸術は、人々にサプライズをもたらすだけでなく、我々に手を振っているのだ。限りない魅力に満ち溢れ、何を語っているのかと思わず近づきたくなる」。フランスの美術評論家のロジェ・ド・ピレス(Roger de Piles)は1708年に出版した『Principles of Painting』(絵画の原理)という本の中でこのように書いています。

伝統的な芸術作品が私たちの心に語りかけている時、その背後には導きや警告が隠されており、同時にもっと自分らしくなることを教えているのです。
 

芸術の意義

ジョバンニ・バティスタ・ガウリ(Giovanni Battista Gaulli)、通称バチッチョ。彼の「幼子イエスを抱く聖ヨセフ」(Saint Joseph Embracing the Infant Christ)では、聖ヨセフが両手で幼子イエスを抱き、上半身を少し屈めて、赤ん坊を包み込むようにしており、父親の愛が十分に感じられます。そして、幼子イエスが聖ヨセフのあごひげで遊んでいるこの微笑ましい光景に、思わず心がほっこりするでしょう。

 

「幼子イエスを抱く聖ヨセフ」(Giovanni Battista Gaulli:パブリックドメイン)

 

「聖ヨセフと幼子イエス」の組み合わせより、「聖母マリアと幼子イエス」の組み合わせのほうがよく見られますが、どちらも同じ創作理念に基づいており、人々に世俗や宗教の中で沈思黙考や祈祷をすることを導いているのです。

 

「聖母子と4人の天使と2人の智天使」(フランチェスコ・ボッティチーニ:パブリックドメイン)

 

昔のコレクターたちは版画や彫刻などの作品に直接触れていたといいます。仲の良い夫婦は赤ん坊が描かれた愛に満ちた絵を見て、わが子はいつやってくるのかと心待ちにし、敬虔な信者は絵画や彫刻を通じて、殉道者たちが経験した苦難を思い浮かべながら、神に近づけるよう、慈悲の心をもって、信仰を深めていくのです。

(つづく)

(翻訳編集・天野秀)