台湾中部発祥の習俗「端午節・午刻の水採り」

【大紀元日本6月20日】台湾では、端午の節句に「午刻採り」とう習俗がある。これは、端午節の午の刻(午前11時から午後1時)に井戸から水を汲み、お茶を煎れたり、酒を醸したりするもので、いずれも深い味わいがある。平常から午刻に水をとって飲んでいると、治病に奇跡的な効果があるという。民間では「午の刻に水を採れば、薬を三年飲んだとの同じ」という諺がある。

なぜ、端午の節句に、午の刻に水を採る習俗ができたのであろうか?それは、あるエピソードに基づいている。鄭成功が台湾を占領する際、部隊が丁度端午の節句に中部大甲・鉄砧山の地方に到着した。その時、天候は猛暑に見舞われ、兵士たちの喉はカラカラだったが、あたりに水源が見つからない。それを見ると、鄭成功はやおら剣を大地に突き刺し、天に水が湧くのを祈った。剣を抜くやいなや、悠然と水が湧き始めたという言い伝えがあり、ゆえにこのあたりの土地は「剣井」と呼ばれている。

また、鉄砧山の地方には古来から霊薬仙草が自生しており、「剣井」の湧き水を午の刻に採るという神秘的な伝説が生まれた。

その後、端午節句の午刻になると、一般庶民はこぞって「剣井」地方に水採りに出かけるようになり、段々と台湾各地にこの水採りの習慣が広まることになった。言い伝えによると、もしある人が井戸の中に剣影を見ることができれば、「その一年は平安、順風であり、災いは遠のく」と言われている。