【季節のテーブル】人を愛する『四季の歌』

夏かがむ 老い行く果てに 四季の雲

【大紀元日本6月21日】「春を愛する人は、心清き人。夏を愛する人は、心強き人。秋を愛する人は、心深き人。冬を愛する人は、心広き人。」これは1972年に芹洋子さんが歌って大ヒットした『四季の歌』(荒木とよひさ作詞・作曲)の1番~4番のそれぞれの出だしの部分です。

心清き人は、僕の友達。心強き人は、僕の父親。心深き人は、僕の恋人。心広き人は、僕の母親のことだと歌われています。青春時代に出遭った友達の清らかな心が、初々しい人生の春を彩って一生の思い出になっている人は、どんなに幸せなことでしょう。真夏の空に輝く太陽のような父親の強い心は、逞しく生きていく意志を育ててくれる大いなる源です。秋に深まる陰影のある恋は、他者を愛する心の試練を与えて人類愛を築く礎とすることができます。人生の冬を生き抜く厳しさを包容していく力は、幼い心に注ぎ込んでくださった母親の慈しみから生まれるものです。

介護を受けているお年寄りが、『四季の歌』を合唱しているのに遭遇しました。透明で清らかなめぐみの風が、傍らをそっと遠慮しがちにそよいで行きました。幾千億の昼と夜の季節のめぐりを経た風が、この日の夕空を駆け巡っています。お年寄りの心は幼い子どものように、明るく微笑んで歌い終えました。この歌を歌うに相応しい年齢に達したことを、誰もが無言で承認しているような香気に満ちた安らぎが、夏至の空を分けるように広がって行きました。

(イザヤ・パンダさん)