「姓名登記条例」の是と非=中国

【大紀元日本8月8日】中国メディアの報道によると、このほど中国公安部より「姓名登記条例(草案)」(以下「条例」)が発表され、現在全国の公安機関で検討が行われているが、学識者ならびに一般市民から賛否両論の意見が出されているという。

「条例」によると、公民は父親または母親の姓を付けなければならない。「語言文字ネット」に江蘇省常州市の「点明」という子供の例が紹介されている。「点明」君は父方と母方の祖父母にとって唯一の孫であり、かつ4人の祖父母の姓が異なることから、4家の跡継ぎの意味を込めて、「点」(各家が一点ずつ占めるという意味)という姓がつけられた。ところが、新しい「条例」が施行されれば、「点明」君は改姓をせざるを得なくなるであろうという。

また、「条例」では、両親の姓を重ねて「双姓」としてもかまわず、それが奨励されている。ただし、それは「複姓」(2文字で一つの姓)とは見なさないという。中国人民大学人口と発展研究センターの杜鵬教授によると、現在中国では、1601種類の姓が使用されているが、「双姓」が認められれば新たに128万種類の姓が加わることになり、同姓同名による種々の弊害が大きく緩和されるという。これに関し、武漢大学の周雲清教授(社会学)も、「条例」が施行されれば同姓同名問題が解決されることになり、社会権益の保護に有益であるとしている。

「条例」ではさらに、漢民族の名前は二文字以上六文字以内の漢字を使用することとし、繁体字、すでに使わなくなった異体字、自ら造った文字、外国語の文字、表音文字、アラビア数字などの使用を禁じた。また、国家や民族の尊厳を損ねたり、民族の良識に背いたり、人々の悪い反応や誤解を招くような名前をつけてはならないという。北京理工大学の胡星闘教授は、繁体字使用禁止に関し、繁体字は中華伝統文化の極めて大切な一部であり、現在、簡体字と繁体字の優劣が議論されている段階であるので、それを排除すべきではないという。

武漢大学の温世揚教授(民法商法)は、「条例」の制定によって雑多な姓名使用を正しく管理することができる上、同姓同名による弊害を緩和できるという点に関して、一定の積極的意義を認めながらも、姓名権は公民の主たる人格権であり、公民の基本的生活に関わることであるため、管理強化のために公民の当然の権利を制限したり奪ったりしてはならないという。

また、東南大学法学院の周佑勇院長は、「条例」は公民の姓名権利の安全性の保障を主旨とすべきであるとした上で、公民の姓名の命名、使用、変更は公序良俗等の公共利益を乱さない限り、制限を加えられるべきではなく、さもなくば、個人の権利に対する過度の干渉となるであろうと述べている。