秋の<千の風>

【大紀元日本10月4日】赤ん坊の生まれたての紅葉(もみじ)のような手は、この世に届けられた白金の輝きです。誰もが千の風=死者の思いを託されて、一人たたずむ楓(カエデ)のそよぎを白いにもたらしているのです。

テノール歌手秋山雅史さんが歌う『千の風になって』では、あの大空を吹き渡った秋の風は光になって畑にふりそそぎます。白金の太陽の輝きの風が、千秋の命の実りを復活させるのです。

北原白秋の詩集『白金の独楽』に<掌>と題する短詩を見つけました。

光リカガヤク掌ニ
金ノ仏ゾオハスナレ。

光カガヤク掌ニ
ハット思ヘバ仏ナシ。

光カガヤク掌ヲ
ウチカエシテゾ日モスガラ。


秋の麗らかな日差しの中を舞い落ちるカエデの葉=掌は、千秋を表に裏に返して翩翻(へんぽん)と秋の季節を刻んで過ぎてゆきます。秋の<千の風>は天狗の団扇=カエデの葉が、そよがせている季節風なのです。

(遥)