除夜の鐘に故郷を思う

【大紀元日本12月31日】今日は大晦日

コタツもつけず、手に白い息を吹きかけながら机に向かう苦学留学生たち。故国での迫害のために、帰りたくても帰れず、一人寂しく異国で新年を迎える人たち。今夜はおそらく除夜を聞きながら、あるいは隣の家のにぎやかな団欒の笑い声を耳にして、しみじみとふるさとの家族や友人に思いを馳せることでしょう。そんな皆さんに、来る年こそ幸多きことを祈りつつ、次の詩を贈ります。


高適【除夜作

旅館寒燈獨不眠
客心何事轉凄然
故郷今夜思千里
霜鬢明朝又一年

[書き下し文]
【除夜の作】
旅館の寒燈 独り眠らず
客心(かくしん) 何事ぞ 転(うた)た凄然
故郷 今夜 千里を思ふ
霜鬢 明朝 又一年

[現代語訳]
旅館の寒々とした明かりの下で、独り眠れず、
旅にあるわが身にはなぜか、ますます寂しさが募るばかり。
故郷のことを今夜、千里も離れた旅先から思っている。
霜のような白い鬢は、明日の朝また一つ年を重ねることになる。

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読者の文月さんから、年末と大晦日にちなんだ短歌が届きました。

やれ自爆テロだ、旱魃による餓死だと、明日をも知れぬ地域がある中で、日本はなんと平和なことか。短歌を見ていて思います。来る年こそ世界中の人々に、「炬燵にあたれる小さな幸せ」(最後の句)が来ることを祈っています。


季題「年惜しむ~往く年、来る年」

作:文月

君は打つ われをも急ぐ 除夜の鐘
夜のしじまに 年は過ぎ行く

霞ヶ関 自宅に急ぐ はらからの
御用納めの 知らせ聞きつつ

暦売り 何かいいたげな 古本屋
来る年の吉凶 顔に出ぬのに

アメ横に 集うはらから おせち買う
大晦日の夜 人のいきれに

酉の市 慶事願って 熊手買う
因果の法則 知らぬまにまに

なか店に 人のいきれる 浅草寺
除夜の鐘突く 人々の願い

紅白の 歌声聴いて 年惜しむ
炬燵にあたれる 小さな幸せ

皆さんもどうぞ、下記あて作品をお寄せください。
お題:自由
作品投稿先:toukou@epochtimes.jp
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(編集・瀬戸)