米誌:世界で最も勤勉な国、日本は上位10位から外れる

【大紀元日本8月6日】米誌「フォーブス」は、経済協力開発機構(OECD)の集計数値に基づいて、加盟国の中から最も勤勉な国を発表した。30カ国の中で、上位10位にランクインした国に、北欧の4カ国が含まれている。一方、勤勉な印象を人々に与えているアジアの日本と韓国は上位10位から外れている。上位10位にランクインした国は1位から順に、アイスランド、ニュージーランド、スイス、デンマーク、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、米国、英国、オーストラリアである。

アイスランド、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー等日照時間が短く寒い北欧国家では、日が暮れても人々は仕事をし続ける。一方、日照時間が比較的長く温暖気候である地中海の国の人々にとって、昼休みはすでに欠けてはならない生活の一部となり、自然と労働時間を短く感じる。

また、これまでヨーロッパ人から「仕事の鬼」と見なされてきた米国人は上位10位にギリギリで入った。主な原因は米国の就業率の低さであり、特に若者の低就職率が挙げられる。

一方、スイスと2位に並んでいるニュージーランドは急成長だといえよう。専門家は、ニュージーランドの人口は410万人と少なく、労働力の不足が原因で労働時間を延ばさざるを得ないと分析している。かつて国連労働組合の弁護士を担当し、現在は企業の労使交渉諮問業務を行っているサリ・パクストン氏は、「雇い主が労働時間を延長するのは、仕事を分担する人が見つからないからだ」と分析した。

今年5月末、米経済誌「フォーブス」はOECDの2009年統計数値に基づいて、3つの年齢層の就業率および年間平均労働時間を算出した。3つの年齢層とは、15~24歳:在学または最初の仕事に就く段階、25~50歳:働く黄金期、50~65歳:定年退職の準備段階。上述のランキングを平均して総合し、上位10位を発表した。10位までの国とは就業率が最も高く、就業者の労働時間が最も長い加盟国である。

労働時間が長ければ勤勉であるとはいえない

今回の統計では、韓国人の年間平均労働時間が30時間で、加盟国の中でもっとも長い国である。しかし、労働時間が長いからと言って、勤勉であるとは限らない。

韓国で農業漁業部門に勤務する39歳の李さん(男)は、毎日朝8時30分に出社し、パソコンの前に1日座って仕事をし、夜9時またはそれ以降に会社を出る。帰宅後、風呂に入ってすぐに就寝する。このような生活が週に6日で、年間の休日は3日間だという。家族の顔は毎日10~15分しか見ていないという。しかし、何と李さんのこのライフスタイルはほとんどの韓国人の縮図だという。

これに対して、『韓国人』の著者マイケル・ブリーン氏は、「ボスより早く帰宅することはよくない行いであり、人々はすることがなくても、ボスが帰ってから、ようやく安心して帰宅できる」とし、これが集権団体文化であると分析した。

年功序列、日韓若者の就業を妨げる

韓国の週間労働時間は世界1位で、1人当たりの平均年間労働時間は2,316時間(アイスランド人の平均年間労働時間は1,807時間)。しかし、前出のパクストン氏は、「年功序列文化」によって、雇い主は勝手に従業員を解雇できず、年配の従業員を雇いつづけるしかないので、若者の就業機会を活かすことができないと指摘した。

文化の違いと数値の盲点

一方、米国労働者統計局主管で労働力市場調査に精通するスーザン・フレック氏は、これらの統計数値は一部の文化の違いを表しているとし、例えば、イタリアおよびギリシアの女性の就業率はヨーロッパではもっとも低いために、全体のランキングが20位と28位まで落ちてしまう。また、フランスの場合は、長期にわたり週35時間労働政策を実施しているために、10位ランキングから外れたと指摘する。

また、フレック氏は、北欧国家はすべての雇い主が年間雇用者数、労働時間および賃金等具体的な状況の報告を求めていることから、数値的に有利であるのに対して、米国労働者統計局は調査を通じて、各企業の概ねの年収および就業人数をはじき出していると、両者の出した数値の盲点を指摘した。

OECD は2007年よりこれらの数値を収集しているが、機構の就業政策責任者ステファノ・スカルペッタ氏は、「今回の数値は、20世紀1990年代以降、労働力市場の悪化のスピードがもっとも早い時期のものである」とし、一部の報告内容は実際の変化に追いついていないと指摘した。

(記者・黄怡安、翻訳編集・余靜)