【生活に活きる植物】18・女郎花(オミナエシ)

【大紀元日本10月1日】中国から東アジアにかけて分布し、日本全土の日当たりの良い山野に自生するオミナエシ科の多年草。秋の七草のひとつで、栽培もされ切花や盆花に利用されます。茎は真っ直ぐ立ち、1メートル近くにもなります。8~9月ごろ、茎の頂に多数の黄色の小花をつけ、果実は長楕円形で中に種子が1個入っています。根を付けた全草を天日乾燥したものが敗醤(はいしょう)という生薬です。根茎を日干しにすると醤油の腐敗したような臭いがすることから名づけられました。花枝のみ集めて薬用に使用するものは黄屈花(おうくつか)と言います。

【学名】Patrinia scabiosaefolia
【別名】アワバナ、ボンバナ
【成分】トリテルペノイド、サポニン、ステロール酸、精油(パトリネンなど)

【薬用効果】敗醤は胃、大腸、肝経に働き、清熱、解毒、排膿作用があります。腹痛、下痢、虫垂炎や皮膚の化膿症などに有効で、同時に血行もよくします。一日に乾燥物3~12グラムを煎服します。煎液は外用として洗眼にも使用します。黄屈花を酒に浸けて飲用すれば、生理不順に有効です。

【食用】若芽、若葉を軽く茹でてから、お浸しや和え物にします。

【余談】日本文学ではすでに万葉集や源氏物語に登場し、秋の七草で「萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花また藤袴、朝貌の花」と歌われています。今ではかなり郊外に行かなければ見ることができませんが、初秋の青空の下で黄金色の花が非常によく映えます。

全体の花姿がしなやかなオミナエシに比して、力強い男性的な姿の男郎花(オトコエシ)があります。オトコエシは茎葉に毛が多く花が白いので容易に見分けられます。根や全草は、消炎や解毒などの薬用に利用されます。

オミナエシ(写真・大紀元)

(文と写真/ハナビシソウ)