【生活に活きる植物】 37・紫蘭(シラン)

【大紀元日本6月17日】日本、中国原産で草原の地上に自生するラン科多年草。5月頃に、紫紅色の花が花茎の先に数個つきます。花弁6枚のうち1枚は変形した唇弁花、花色は白、淡紅、黄や青色など、葉は大きめのササの葉状で縦に平行している葉脈が目立ち、斑入りなど観賞用に品種改良されています。栽培も盛んで、庭や公園に植えられ、群生している様は見事です。地下に円い塊茎がつながっていて、この乾燥物は白及(びゃっきゅう)と呼ばれる生薬です。

【学名】Bletilla striata
【別名】紅蘭(ベニラン)、シュラン
【成分】多糖類(グルコマンナン)、トリテルペノイドなど

【薬用効果】白及は肺、胃、肝経に働き、止血作用があり、肺胃損傷による喀血、嘔血など多くの出血に有効です。また、消腫作用もあり、皮膚化膿症に内服、あるいは外用します。一日量は乾燥物3~9を煎服し、粉末を服用するなら1回に1~3g、外用には適量を使用します。粘液質は皮膚や粘膜の保護作用があり、民間療法でもやけど、ヒビ、アカギレに効果があるとされ、粉末を油、水で練って利用します。

【余談】シランに含まれる粘液質は薬用の他、陶磁器用の絵付けの糊料に、また、馬の毒草中毒の解毒に利用されるそうです。そのうえ、野生のランとしては寒さに強く、栽培も容易で園芸用として人々に愛されてきました。この花柄は花茎と180度もねじれてその先に花弁が付き、花の色が白でも青でも「紫蘭」と呼ばれます。「この花の名前なんて言うの?」「知らん」なんて冗談が言いたくなるほど、面白い花なのです。

紫蘭の群生

(文/写真・ハナビシソウ)