【生活に活きる植物】 42・鶏頭(ケイトウ)

【大紀元日本9月9日】ケイトウは熱帯アジア原産で、日本には奈良時代に中国から渡来したヒユ科の1年草。秋の訪れを知らせるケイトウは万葉集をはじめ文学、美術でもお馴染みです。夏から秋にかけ、黄・赤・桃色などの花穂ができ、様々な色や形の園芸品種も多く作り出されています。夏、勢いのある時期に採取して乾燥した花が生薬の鶏冠花(けいかんか)、種子が鶏冠子(けいかんし)です。

また、ヒユ科ケイトウ属には別種のノゲイトウや葉を観賞するハゲイトウ(葉鶏頭、アマランサス)があります。

【学名】Celosia cristata
【別名】韓藍(からあい)

 【薬用効果】鶏冠花は肝、腎に働いて収斂作用を有し、止血、止痢、止帯(おりもの)の効果があります。習慣的には赤花は各種の出血に、白花は帯下に使用します。1日量は乾燥物6~15gを煎服します。凍傷には煎液で患部を洗うと有効です。ノゲイトウの種子に含まれている油は強壮薬で、耳目の機能を改善する効果があります。根や茎は干した後に室内でいぶすと、ネズミが数カ月入って来ないそうです。

 【食用】花と葉はアフリカと東南アジアで食用とされ、日本でも食用植物として栽培されていた時期もありました。若葉、若芽をアク抜きしてゴマ和え、油いためにします。

【余談】鶏頭の名前はその形がニワトリの鶏冠(とさか)に似ているからのようです。花穂の形状で分類すればトサカケイトウの他にも花が羽毛状の羽毛ケイトウ、丸い久留米ケイトウ、尖った槍ケイトウなどの系統があります。いずれも切花が仏花として盆棚に飾られます。中国名は「鶏冠」、英語名は「cocks-comb」(鶏のとさか)で、この花に対するイメージは世界共通のようです。茎と葉は草木染めに利用され、アルミや錫媒染で金茶色に染まります。

ケイトウ

ケイトウ

(文・写真/ハナビシソウ)