【生活に活きる植物】 44・蓼藍(タデアイ)

【大紀元日本10月21日】タデアイは東南アジア原産で、日本には6世紀頃中国から伝来したタデ科の1年草。藍染の原料として栽培されました。花はピンク色で9月ごろ咲き、茎はやがて赤くなります。藍色色素の原料として広く栽培されたのですが、染料インジゴ合成の成功により栽培は減りました。葉の乾燥物は生薬の大青葉(だいせいよう)、葉を醗酵させて「すくも」を作り、石灰水を加えて表面に浮いた泡を乾燥したものが青黛(せいたい)です。

【学名】Polygonum tinctorium
【別名】あいたで
【成分】インジカン

【薬用効果】大青葉は心、肝、胃に働き、解熱、解毒の作用を有し、発熱、頭痛、出血に効き、またウイルス性、細菌性の感染性疾患にも外用、内服いずれも有効です。大青葉の1日使用量は乾燥物6~15g、生葉24~30gを煎服し、外用には適量を使用します。青黛は肝に働き、解毒作用があります。化膿症、湿疹、出血などに有効です。青黛の1日使用量は1~3gを丸、散剤に入れて使用し、煎服はしません。外用には適量を使用します。

【余談】「青は藍より出でて藍より青し」とは、教育や本人の努力がどんなに大切かということ、また、弟子が先生よりすぐれていることの譬えとして知られています。

現在の藍染めは江戸時代から各地で盛んに行われました。染色には生葉染めや、すくも染めがあります。すくも染めは乾燥した葉を数カ月かけて醗酵させた「すくも」から藍玉を作り、染め液に何度も浸け染めします。藍染の愛好者は多く、海外では「ジャパンブルー」とも呼ばれます。遣唐使により日本に蓼藍が伝わる以前、日本に自生するトウダイグサ科の山藍は色素(インジカン)を含みません。したがって万葉集に登場する藍摺は緑色と思われています。それに対しインドアイは含有量が多く、インジゴが合成されるまでは高品質の顔料、染料として世界中で使用されていました。

(文と写真・ハナビシソウ)