【党文化の解体】第8章(17)

【大紀元日本12月4日】

5.混同された党と政府、国、民族の概念

4)愛党ではない愛国

中国では古来より愛国者が後を絶たなかったが、国を愛することは党を愛することではない。本当の愛国者は人民の苦しみに関心をもつものであって、一人の指導者、政権あるいは党派に忠誠を尽くすものではない。そのため、愛国者はよく時代時代の腐敗を指摘して、現実を批判する。中国古代の屈原氏は「民生の苦しみを悲しんで、長くため息をついて顔を覆って泣く」、詩人杜甫は「金持ちの家から酒や肉の匂いが漂いながら、道端に凍死の人が倒れる」と訴える。これは正真正銘の愛国者で、しかし共産党の基準に拠れば、彼らは「悪辣に政府を攻撃する」、「反共産党、反政府」の罪に問われて投獄されるかもしれない。

愛国とは何であろうか(イラスト・大紀元)

現在の中国大陸における主流の考え方では、中国共産党政権の意志の下で、その規定に沿って行動し、党の利益に沿う成功に歓喜するのが愛国である。実はこれはねじ曲げられた愛国意識と愛国行為である。サーズ(新型肺炎)が爆発した二〇〇三年に、当時の衛生省張文康部長は「中国はとても安全だ、新型肺炎は抑制された」と発表した。しかし、彼の忠誠心は党に対する忠誠心で人民に対する忠誠ではなくて、彼は共産党と自分の官職を愛して、中国と国民を愛しているのではなかった。彼の「愛」は国民の命を犠牲にしたのだ。

本当の愛国者は蒋彦永医師のような、もっと多くの人を救うために勇敢にサーズの真相を暴き出した人たちである。本当の愛国心は、中国共産党に忠誠心をアピールするために様々な愛国の振る舞いをするのでなく、内心から中国のために責任を負うこと、権力者からの迫害を抵抗することこそが本当の愛国心である。中国共産党の中傷、また故意に党と政府、国の間の概念を混同したために、迫害される者たちの平和抗争の積極的な意義を中国人は理解しなくなったのだ。

5)中国の心象を壊したのもの

中国共産党を批判する人は、よく共産党に「中国の心象を壊した」、「中国人の感情を傷つけた」との罪名を付けられる。しかし中国共産党は中国に等しくはなく、共産党を批判することはもちろん中国を批判することに等しくないのだ。実は、中国のイメージを壊した主犯はほかでもない中国共産党だ。孔子は『論語』に「遠くにいる人が服しないと、文徳を修めて来させる」という。自分がしっかりと行えば、自然と心象は良くなる。中国共産党の暴政と国民に対する迫害、信仰を持つ人たちに対する人権迫害、他国の独裁政権を援助する行為こそ国際社会から批判を浴びる根本的な原因で、中国共産党の高圧かつ残虐な政策こそ中国の心象を壊したのだ。中国共産党を批判する人たちは、中国人として自分の人権と尊厳を守るための勇気を世界中に示して、彼らこそ中国の心象を守っているのだ。

二〇〇五年十月二十四日、米国でローザ・パークスという黒人女性が亡くなった。五十年前に、不公平な人種差別法令に対抗するため、アラバマ州のバス中で、彼女は白人に座席を譲ることを拒んだ。彼女の行動はその後激しい民権運動を誘発して、人種隔離制度はそれで廃止された。彼女の葬式に、ケネディ国会議員は「アメリカは今日、本当の英雄を失った」と発言して、同じ黒人であるライス・元米国務長官は「彼女がいなかったら、今日、私は国務長官としてここに立つことはあり得なかった」と言った。

もう一人米国民衆の高度な尊敬を受けた民権運動の指導者はマーティン・ルーサー・キング博士であった。一九六三年、彼はワシントンD.C.で二十五万人の集会を開き、人種差別に反対し平等を求めた。この集会で彼は、あの有名な演説「私には夢がある」を行って、翌年ノーベル平和賞を受賞した。死後十五年目に、彼の栄誉を称えるため米国は彼の誕生日を「マーティン・ルーサー・キング・ディー」とした。生前の業績から誕生日を祝日に制定された人はアメリカにおいて四人しかいない(ほかはコロンブス、ワシントン元大統領、リンカーン元大統領)。

マーティン・ルーサー・キング牧師(イラスト・大紀元)

ローザ・パークスとキング牧師が米国に恥をかかせて米国の国家的な心象を損なったと思う人はいないだろう。逆に、彼らは大きな勇気で人権と尊厳を守って平等と正義をもたらし、彼らの努力と勇気が黒人の運命を変えて、米国ないし世界を変えたため、彼らは米国に誉れをもたらしたとして人々に尊敬されている。

共産党政権の醜悪、共産党が中国人を迫害する事実を暴露した勇士を中傷する時、中国共産党はよく「国家の心象を壊した」という。しかし、もし勇士たちの精神と目的を分かって、中国共産党こそ中国の心象を壊した主犯だと分かれば、私たちは共産党暴政を抗争する人たち、特に数多くの法輪功学習者の努力に理解が捧げられるだろう。信仰を守ること、中国共産党の迫害を制止することは中国人としての正当な権利で、勇士たちの努力は、実はすべての中国人の人権と尊厳を守って、中国人の心象を守っているのだ。

(続く)