「浜辺の歌」に込めた愛

【大紀元日本8月14日】

 あした浜辺をさまよえば、昔のことぞしのばるる。

 今もなお、広く日本人に親しまれている唱歌「浜辺の歌」(作詞・林古渓)。世に出たのは大正2年(1913)ですので、およそ百年前になります。

 もとは作曲者の成田為三が、東京音楽学校の同窓生でピアノを専攻していたある女性へ、自分の思いを楽譜に込めて贈った恋歌だったそうです。確かにその旋律には、遠くにいる大切な人を一途に思うような、限りない透明感と美しさがありますね。

 さまよう、に漢字を当てるとすれば「彷徨う」になるでしょうか。

 人が、そのような状態になるとき、つまり当てどなく彷徨するときというのは、往々にして、心に深い思いがあり、なおかつそれが叶わなくて苦しむときのようです。

 成田為三、このとき二十歳。為三の愛の告白は、相手の女性にすでに婚約者がいたため、実ることなく終わりましたが、周囲に勧められて発表したこの歌は、百年たった今も多くの人に愛されています。
 

 (鳥飼)