栄養に関する11の大きな嘘

肉では太らない、卵のコレステロールは気にする必要がない―これまでの栄養の常識が誤りであったことを指摘する記事が、米国のニュースサイト「ビジネス・インサイダー」で発表された。筆者はアイスランド人の医学生クリス・グナル氏(Kris Gunnars)。自身で研究した栄養に関する医学論文をまとめ、ウェブなどで周知活動を行っている。以下は、「栄養に関する11の大きな」というグナル氏の記事の抄訳である。

 1.「卵は不健康」という嘘

 これまで、卵に含まれる多量のコレステロールが心臓病を誘発するリスクを高めると考えられていた。しかし、現在、食事に含まれるコレステロールが必ずしも血中のコレステロール値を上げるわけではないことが判明している。卵は最も栄養価の高い食品の一つである。。

 2.「飽和脂肪は体に害がある」という嘘

 数十年前の研究以後、脂肪、特に飽和脂肪を摂ることは心臓病の要因になるとされていた。しかし、この研究は全く不完全なもので、誤りであったことが明らかになっている。飽和脂肪と心臓病の発症には関連がない。肉、ココナッツオイル、チーズ、バター等の食品の摂取を恐れる必要は全くない。

 3.「穀物を食べるべき」という嘘

 人間の食事は穀物をベースにするという考え方は意味をなさない。人は農業革命を経たが、それ以前と比較して体の遺伝子は変化を遂げていない。穀類はほかの野菜と比べると栄養素が比較的低い。特に小麦に含まれるグルテンは健康に関する様々な問題を引き起こす要因になる。

 4.「タンパク質を多く摂ると骨や腎臓に悪い」という嘘

 高たんぱく食は骨粗鬆症や腎臓病を引き起こすと言われてきた。タンパク質を摂ると、短期的には骨からカルシウムが排泄されるからだ。しかし、長期的には骨の健康をもたらし、骨折の危険性を下げることがわかっている。また腎不全のリスクや血圧の低下を促し、糖尿病を改善させることも明らかになっている。

 5.「低脂肪食品は健康的」という嘘

 もし、好みの食品から脂肪をすべて摂り出したら、どんな味に変わるか知っているだろうか。恐らく「段ボール」を食べているような気分になるだろう。誰がそんなものを食べたいと思うだろうか?食品メーカーはそれを熟知しており、人工甘味料、調味料を追加する。それらは専ら人体に有害なものが含まれている。

 6.「一日の食事回数を増やす健康法」の嘘

 「代謝能力を高め、維持する」ために、一日を通じて少量で多くの回数の食事をするという食事法があるが、これは誤った考えである。身体が消費するエネルギーは食事回数で決まるのではなく、食事の摂取量で決まる。むしろ、時々食事を抜くことが健康につながるとされている。いくつかの大腸がんのリスクに関する研究によると、がんによる死亡率は、一日2食の人と比べて4食の人は9割増加するという。

 7.「炭水化物は摂取カロリーのうちの最大量を占めなければならない」という嘘

 主流の見方では「脂肪を抑えたダイエット」に努めれば、炭水化物量は全体の50~60%を占めることになる。この種のダイエットでは、肉や卵などの高脂肪食品の摂取量が非常に少なくなる。

 この食事法によって自然に痩せる人も出てくるが、糖尿病患者やメタボリック・シンドロームを患う人には、炭水化物量を増やすのは非常に危険である。

 低脂肪・高炭水化物ダイエットと、低炭水化物・高脂肪食(LCHP)は広く比較研究されているが、後者の方が支持されている。

 8.「高オメガ6の種子油、植物油は身体に良い」という嘘

 ある研究結果では、多価不飽和脂肪は心臓病のリスクを低下させるため、健康によいとみなされている。しかし、多価不飽和脂肪には多くの種類があり、大別してオメガ6系、オメガ3系がある。

 オメガ6の油は菜種、大豆、トウモロコシ、ひまわりなどがある。人間は進化の過程でオメガ6脂肪を多く摂取する機会を得ておらず、摂りすぎればアレルギーなどの炎症を起こす可能性があることが分かっている。人体にとっては、不自然な食べ物なのだ。

 9.「ローカーボ(低炭水化物)ダイエットは危険」という嘘

 低炭水化物食事法は欧州諸国で広く知られている。多くの健康上の問題を改善させる食事療法とされている。一方、低脂肪食は世界中においても効果がなく役に立たない方法である。

 栄養士やマスメディアにより「悪者扱い」されてしまっている低炭水化物ダイエットは、多くの研究で良い成果を結んだことが明らかになっている。下記はその成果の一例。

 A. 低炭水化物ダイエットは好きなだけ食べても構わないが、カロリー制限や低脂肪食よりも多くの体脂肪を減らす

 B. 高血圧を改善する

 C. 低脂肪食よりも糖尿病に良い効果をもたらす

 D. 善玉コレステロール(HDL)を増加させる

 E. 低脂肪食よりもトリグリセリド(中性脂肪)を下げる

 F. 低脂肪食のように空腹に耐えたり、カロリーを気にする必要はないため、容易に続けられる

 私たちへ最大の利益をもたらすはずの医療従事者は「低脂肪(推進)の教義」を掲げてこの失敗を認めず、低炭水化物食が「危険」であると主張する。

 低炭水化物ダイエットは減量に効果があり、代謝性疾患を改善させ、健康をもたらす最も簡単で効果的な方法だ。科学的な証拠が示している。

 10.「空のカロリー食品」である砂糖は危険、の嘘

 現代人が大量に摂取している砂糖の多くは、精製された白砂糖。代謝に必要な栄養素(ビタミン・ミネラル)が殆どない。カロリーだけあって他の栄養素を含まない砂糖は「空のカロリー食品」と呼ばれる。

 砂糖の悪さはカロリーにとどまらない。砂糖の摂りすぎは急速な脂肪の増加、代謝性疾患、糖尿病、その他多くの深刻な病を引き起こす。

 11.「高脂肪食品は脂肪になる」という嘘

 脂肪を食べれば太る、そう直感的に誰しもが思うだろう。私たちの皮膚の下にある柔らかいブヨブヨしたものは脂肪だ。それは食べたものが作ったに違いない。

 しかし体のつくりはそれほど単純ではない。脂肪は炭水化物やたんぱく質よりもグラム当たりのカロリーは高いものの、高脂肪食が人の脂肪を作ることはない。現に、低脂肪食よりも低炭水化物食のほうが肥満にならないことがわかっている。これは脂肪が肥満に結びつかないことを意味している。
 

(翻訳編集・佐渡道世)