仲間を助けようとして悲劇が

死に魅了された象 滝に落ちた子象を救おうとした11頭が次々と水死

タイ中部のカオヤイ国立公園にある滝で、下の急流に落ちた若い小を救おうとした11頭が水死するという悲劇が起こりました。

Daily Mailによると、タイの国立公園野生生物および植物保護局(DNP)のスタッフは、2019年10月5日の早朝、象が助けを求めて「泣き叫んでいる」との通報を受け、現場にかけつけました。3時間後、スタッフは最初に落ちた子象の死体を発見しました。まもなく滝の底で5頭の象の死骸が発見されました。その後ドローンでの捜索でさらに5頭の死骸が見つかりました。

また近くの岩棚には、2頭の象が身動きがとれなくなっているのが発見されました。スタッフは餌の小包を準備し、脱出しようともがいている2頭に投げ与え、2頭は何とか無事に安全な場所まで這い上がることができました。

ワイルドライフ フレンド ファウンデーション タイランド(Wildlife Friends Foundation Thailand)の創設者であるエドウィン・ウィーク氏(Edwin Wiek)は、生き残った象の未来を心配しています。「象は、外敵からの身を守ったり食物を得ることを群れで助け合い、互いに依存しあっている」

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生き残った2頭のゾウは11頭ものかけがえのない仲間を失い、自分たちだけで戦い生きていくのに苦労するかもしれません。

「家族の半分を失うようなものです」とウィーク氏は嘆きました。「できることは何もありません。残念ながら、それが自然なのです」

生き残ったゾウの感情にも、この事件はずっと影響を与える可能性があります。

ケニア北部のサンブル国立保護区でゾウを研究してきたコロラド州立大学の保護生物学者ジョージ・ウィッテマイヤー氏は、ゾウはいつも「死に魅了される」とナショナルジオグラフィック誌に説明しました 。

「それが起こるたびに、いつも同じではありませんが、とても印象的な行動です」とウィッテマイヤー氏は言います。「それは生存や必要性のためではなく、何らかの感情に基づいています」

Haow Narok(地獄の淵)として知られているカオヤイ国立公園の滝は、この悲劇的な事件の後、地元の人々の間で有名になりました。さらに、国際的な報道機関の注目を集めました。

タイのカオヤイ国立公園は2,168平方メートルを超え、約300頭の野生象が生息しています。残りの象が動揺するのを最小限に抑えるために、公園の担当者は風景を通る観光客に対して厳しい規制を設けています。

国立公園の観光客は、「車のクラクションを鳴らしたり、大きな音を立てたり、写真を撮るときにフラッシュを使用したりしてはいけません」と説明しています。

公園の野生象の総数のほぼ4%を1日で失うことは、カオヤイ国立公園が回復するのに何年もかかる悲劇的な出来事でした。

(大紀元日本ウェブ編集部)