NHKのドキュメンタリー番組『ひとモノガタリ』を見た。副題は省略するが、その回は、外国人患者に対応する女性医師の奮闘ぶりがテーマだった。
▼浅香朋美さんというその医師は、以前は外科医として海外の発展途上国で治療に当たっていた。現在は日本の病院で、メスをもつような直接の医療ではなく、近年増加する外国人患者への対応に当たっている。
▼対応といっても、通訳のほか、家族への連絡や大使館への取次ぎなど、浅香さんの仕事内容は多岐にわたる。なかでも頭を悩ますのは、治療費の清算である。発展途上国から日本へ出稼ぎにきている外国人は、来日時から借金をしている人も多く、日本の健康保険に加入していない場合が少なくない。当然、すぐには払えない。
▼場合によっては数百万円の費用となる。患者にとっては天文学的な数字だ。病人を救う医療の理想と、かかる治療費の現実。30分の短い番組だったが、外国人が増える今後の日本を考える上で、ここにも避けて通れない課題があると感じた。
▼当たり前だが、医療には高額の金がかかる。中国の中共ウイルス新型コロナウイルス)による肺炎患者は、24時間フル稼働する火葬場の情況や、遺体を入れる袋の不足などの傍証からして、中国政府が発表する数字をはるかに上回ることが想像できる。
▼今の中国の病院で、一部の特権的な患者を除けば、高額の費用がかかる良質な医療は行われていない。もちろん個人として誠意ある医師はいるだろう。しかし、大部分は隔離と見殺し、よほど運が良ければ自然治癒という「最も安上がりな方法」を採っているはずだ。