本当に美しい人になるには

美人」というと、どんな顔を想像するでしょうか。顔が整っている人はたくさんいますが、なんとなく意地悪そうに見える人もいれば、気が強そうな印象を与える人もいます。また、華やかだけど、品がないと思わせる人もいます。本当の「美」とは何でしょうか。他人に安らぎと信頼感を与え、慈悲に満ちた顔立ちをしている人が本当の美人なのです。

それでは、心の変化によって顔が変わってしまった人の話を紹介しましょう。

相は心から生じる

画家は毎日のように街頭に立ち、自分が描くキリストのモデルになってくれそうな人物を探していた。ある日、画家は品のある顔立ちをした、高潔そうな一人の若者を見つけ、彼にモデルを依頼した。若者に数回会った後、5年の歳月をかけて、やっとキリストの絵を完成させた。今度は、キリストを裏切ったユダを描きたくなり、再び街頭で、長時間かけてユダに似ている人物を探し出した。彼は苦労して探し出したモデルを自宅に招き、絵を描いた。ある日、そのモデルは突然泣きだした。5年前にキリストのモデルをやったのは、自分だと言うのだ。たった5年の間に、若者の心は善から悪に変化し、容貌までもが変わってしまっていた。

像100体を彫刻した後に現れた奇跡

現代美術を専門とするある彫刻家は、鬼や妖怪、魔など負のイメージのものを頻繁に作成していた。ある日、久々に会った友人に、「顔が醜くなった」と言われた彼は、自分を鏡に映してみた。すると、自分の変わり果てた容貌に愕然とした。彼は病院を訪ねたが、原因は分からなかった。思い悩んだ末、彼は友人を訪ね、ある1人の大師(高位の僧侶)を紹介してもらった。大師は彫刻家の絶望した状況を聞くと、彼の病気を完治してあげましょうと言う。そして、謝礼金の代わりに、佛像100体を彫刻するよう彫刻家に依頼した。大師は、「あなたが佛像を彫刻している間に、私はあなたの病気を治療します」と、彫刻家に伝えた。彫刻家は喜び、すぐに依頼を承諾した。

彫刻家は家に戻ると、直ちに佛像を彫り始めた。しかし、彼が完成させた佛像の表情は、どれも以前彫刻した鬼や妖怪に似ている。彼はそれらの彫刻を一旦中止し、今度はもっと心を込めて佛像の彫刻をすることに決めた。

佛像を彫刻していくうちに、彼の顔だちは段々と変わっていった。佛像を100体彫り終えた時、友人が彼を訪ねてきた。友人は、彫刻家の顔が清々しく、以前よりきれいになったと言った。

彫刻家は喜び勇んで佛像を大師に届け、感謝の気持ちを伝えた。大師は、微笑みながら語った。「私ではなく、あなた自身が病気を治したのですよ。あなたが鬼や妖怪、魔を彫刻していたとき、頭の中はすべて妖怪のイメージが浮かんでいたでしょう。長い年月を経ると、そのイメージが顔にも反映され、徐々に定着してしまうものです。あなたが一心不乱に佛像を彫刻していた時は、心の中に佛のイメージが沸き、佛の慈悲、聡明さ、偉大さがあなたの潜在意識に刷り込まれました。そのイメージがあなたの顔に反映され、美が戻ってきたのです」。顔だちが変化した原因を知った彫刻家は、まるで夢から覚めたように、大切なことを悟ったのだった。

(翻訳編集・李頁)