15歳で出産、看護師から勇気をもらい若くして母親になる決意をした少女

15歳と言えば、授業、課外活動、友達、そして将来について考えなければならずとても忙しい毎日を過ごしています。しかし、イリノイ州ロックフォードに住む15歳の少女、チェリッシュ・コーツさんは、生まれたばかりの息子のことを心配していました。
2004年、祖父母と一緒に住んでいたチェリッシュさんはある日、お腹に鋭い痛みを感じました。実は彼女は赤ちゃんを身ごもっていたのです。妊娠していることはチェリッシュさん自身も全く知りませんでした。そんな彼女は朝方、彼女は寝室で誰の助けも借りずに一人で赤ちゃんを出産したのです。

どうしたらいいか分からず、祖父母にも怖くて言いだせなかったチェリッシュさんは、なんとか自分で臍帯を切り、ボーイフレンドの助けを借りて、早産の赤ちゃんをスウェーデン・アメリカン病院のNICUに運びました。恐怖に怯えたチェリッシュさんのボーイフレンドは、病院の靴箱に短いメッセージだけを残して、体重3ポンド(約1キロ)の赤ちゃんを置き去りにしました。
 

(Courtesy of Cherish Adams Coates)

 

(Courtesy of Cherish Adams Coates)

「赤ちゃんをアレン・コリーという名前にしてほしい、私は息子をとても愛していて、アレンに最高の未来が待っていることを願っているというメモを書いたんです」と、チェリッシュさんは話してくれました。

チェリッシュさんとボーイフレンドは、それからどういう行動に出るべきか全く見当もつかず、両親や祖父母に出産のことも話すべきではないと思っていましたが、とにかく彼らは赤ちゃんを毎日のように訪問し続けました。「私は、アレンが本当に美しく、ものすごく小さかったというのだけを覚えています。それまで私は赤ちゃんを抱いたことがなく、ベビーシッターのバイトもしたことがありませんでした」とチェリッシュさんはシカゴ・トリビューン紙に語っています。

スウェーデン・アメリカン病院は、2001年にイリノイ州の「セーフ・ ヘイヴン法」が施行された場所の一つでした。この法律は安全な避難所(セーフ・ヘイヴン)に、新生児を無条件で預けてもいいとした法律です。 安全な避難所とは消防署、警察署及び病院などのことです。そのため放棄した親も育児放棄の訴追の恐れはありません。

新生児担当の看護師、ジーニー・ジョセフさんが、アレンくんのケアを担当しました。アレンくんは生きようと必死でした。「チェリッシュはとても怯えているように見えました。とても悲しそうで、自分の行いを恥じていました」ジョセフさんはトリビューンに語ってくれました。そのベテラン看護師のジョセフさんは、若くして母親になったチェリッシュさんが何らかの助けや励ましを必要としていると感じました。
 

(Courtesy of Cherish Adams Coates)

「あなたはアレンの命を救ったのよ。だから自分の行いを恥じないで」 ジョセフさんはチェリッシュさんにそう言ったことを覚えています 。「だから悲しまないでほしいの。あなたはアレンに最高のチャンスを与えたのよ」と。このジョセフさんとのやり取りはチェリッシュさんにとってかけがえのないものになりました。チェリッシュさんは生まれて初めて、自分の気持ちを打ち明けることのできる人がいると感じました。

自分の家族に出産したことを告白し、自分の人生を前向きに生きる勇気をチェリッシュさんに与えてくれたのは、紛れもなく看護師のジョセフさんでした。「自分の家族に隠しておくにはあまりにも大きすぎる秘密だと思うわ。あなたには家族のサポートが必要なのよ。どんな決断をするにしても、まずは家族と話さないとね」とジョセフさんはチェリッシュさんに話したそうです。

チェリッシュさんは優等生でいつも成績はAばかりで、まじめにアルバイトをしている普通の高校生でした。チェリッシュさんはついに、母親に出産のことを打ち明けることにしました。チェリッシュさんの母親もまた、若くしてチェリッシュさんを出産したのでした。チェリッシュさんの母親はチェリッシュさんを叱ることもなく、なんとアレンくんを家に連れてきて育てたいというチェリッシュさんの決断を応援してくれることになりました。ジョセフさんがトリビューン紙に語ったように、「ためらいも怒りも何もありませんでした。チェリッシュの母親は静かにチェリッシュを抱きしめました。彼女もチェリッシュと同じように赤ちゃんを愛していました」と語ってくれました。

そして時が流れ、2017年…

チェリッシュさんは高校と大学を卒業し、アレンくんと他の2人の子どもたちとアリゾナで暮らしています。ジョセフさんに勇気をもらった彼女は、認定看護助手になるための訓練を受け、法律の学位を目指して働いているとトリビューン紙は報告しています。アレンくんは既にティーンエイジャーにまで大きく元気に成長しました。チェリッシュさんはあの時、自分を支えてくれたジョセフさんに会いたいと思うようになりました。
 

(Courtesy of Jeannie Whalen Joseph)

「ザ・ドクターズ」(アメリカの医療系の人気番組)での感動的な再会を果たし、2人はお互いをしっかりと抱きしめ合いました。観客席や舞台上でそれを見ていた人も、二人の再会に感動し涙を流しました。看護師のジョセフさんが、アレンくんがとてもハンサムでこんなに大きく成長したことが本当に嬉しいと話し、それを聞いてアレンくんも声を詰まらせていました。

ホストのアンドリュー・オルドン医師はジョセフさんに「あなたはまさに聖人です。仕事を超えて、愛や情熱を持って医療に携わることができるとても素晴らしい人物です」と言いました。

二人の再会以来、チェリッシュさんは看護師のジョセフさんからの影響もあり、アレンくんの出産を思い出しながら、超音波診断士として医療の現場で働くことになりました。

アレンくんは今、学校で真面目に勉学に励み、陸上部で活躍しています。そして米海軍のシーカデットプログラムに参加しています。これからもアレンくんとチェリッシュさんは幸せな人生を送ることは間違いないでしょう。
 

(Courtesy of Cherish Adams Coates)

(大紀元日本ウェブ編集部)