古代中国の物語

天災に見舞われた村

昔、中国のある峡谷地に、多くの人々が平和に暮らす作物の豊かな村があった。しかし、月日は流れて、人々の道徳が次第に堕落し、やがて名利を追求したり、私利私欲のために、殺人、強盗、背信行為、乱倫を犯す人が横行し、村全体の風紀が乱れてしまった。

ある日、街に居士らしき人物が現れた。彼は肩に担いでいる天秤棒の片方に重さ120キロの大きな石臼を吊るし、もう片方にはなんと麦わら帽子一つだった。明らかに重さが違うのに、彼はちっともバランスを崩さずに、軽やかに歩いた。その尋常でない様子を見て、たちまち人々が集まった。

彼は村を周りながら、「早く逃げよう、早く動こう、山が谷になり、谷が山になる…」と繰り返し唱えた。村人は彼が言っていることは不吉だとして罵り、子どもまでが彼に向かって小石を投げた。だが、彼はそれを全く気にかけず「善悪には報いがあり、軽いものには軽く、重いものには重く…」と、また繰り返して唱え続けた。そして、すべての村を周ると、別の村へと向かった。

数日後、彼がまたやって来た。天秤棒に同じ物を担ぎ、同じことを唱えた。村人は彼を気狂いだと決め付け、彼をバカにしたり、口汚く罵ったりした。

その時、村の一人の古老が言った。「彼が唱えている言葉には、深い意味があるのかもしれない。考えてみなさい、重い石臼と軽い麦わら帽子を一本の棒でバランスを保って歩ける人を普通と言えるのか?それに、ずっと同じことを繰り返し言い続け、焦っているように見える。この村に本当に何か災難が起きるのではないか。そのための警告ではないか?」

周りの人は口々に「馬鹿な話だ、そんな災難があるかい?」「彼は嘘を言っているのだ!」と反論した。村人は彼を瘋癲と見なし、その警告を無視した。

居士がこの村を最後に訪れた時、村人たちが全く無関心である様子を見て、嘆き悲しみ「真実を教えてあげても信じない。軽いものには軽く、重いものには重く……」とまた唱えた。そして、そのまま村を離れ二度と戻ることはなかった。

それから三日後の正午、村の古老は家畜を谷口に放牧しながら、小麦の脱穀をしていた。その時、家畜が急に不安そうに動き回り始め、鼻息も荒く、非常に恐れている様子だった。古老が家畜を落ち着かせようとした時、一瞬周りが静まり返り、まるで地球の自転も止まったかのようだった。

しかしその次の瞬間、遠くから重い音が響き、大地が激しく揺れ動いた。山が崩れ、地が裂け、家屋は倒壊し、数分もたたない内に村全体が平らとなった。峡谷の両側の山が内側の谷に倒れ、一つの山になった状態が地震の巨大さを表していた。

古老は恐怖のあまり、へたへたと座り込み動けなくなった。眼前の惨状を虚ろな目で見つめながら、居士の言葉を思い出した。「真実を教えてあげても信じない。軽いものには軽く、重いものには重く……」

この地域では、大勢の人々が地震で命を奪われた。

(翻訳編集・李青)