大紀元時報

「お米を食べる幸せ」それが最高の栄養素です

2021年8月29日 11時00分
kai / PIXTA
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今日は「お」のお話をします。日本は「豊葦原の瑞穂の国」。9月に入れば、早稲(わせ)の新が収穫できる地方もあるでしょう。

どんなにコロナが災いしても「日本に稲穂が実る」という絶対の天理を崩すことはできません。実に嬉しいことではありませんか。小麦はほとんどが輸入ものですが、は(一部を除いて)日本産。

食糧自給の根幹が堅固であれば、万一にも飢えることはありません。私たちはまずそのことを押さえて、慌てず、どっしりと構えましょう。

さて、そのおですが、日本では昔も今も主食であることに変わりないとして、その食べ方には、ずいぶん変遷があったようです。

かつて「江戸わずらい」という、当時は原因不明の奇病がありました。その名の通り、江戸時代の東京(つまり江戸)で、白ばかりの食事がもとで起きたビタミンB1の欠乏症です。両脚に力が入らず、足が変形して立てなくなるので脚気(かっけ)とも呼ばれました。重症化すれば心不全などを招き、死に至ることもあります。

栄養学の知識がない当時は、確かに奇病としか言いようがなかったのですが、この脚気のために働けなくなった奉公人が田舎の実家へ帰されて、そこで玄雑穀飯などを食べると回復したといいます。経験的に「江戸を離れると治る病」という認識はあったようです。

江戸っ子が蕎麦を好んだ背景にも、脚気の予防になると考えられていた面があります。江戸っ子は、そのヤセ我慢の「気どり」が災いして、白飯を大量に食べることにこだわり続けました。確かに白飯はおいしいのですが、副菜をほとんど摂らず、単一の食物だけでお腹を満たそうとしたのは、やはり人間の健康にとって無謀というものでした。ただ、江戸の町民にとって、燃料にする薪(まき)は買わなければならなかったので、炊き上がりの速い白が歓迎された面はあります。

至上主義は、明治陸軍の軍医総監であった森林太郎(森鷗外)の主張まで続き、日露戦争では2万7千人もの陸軍兵士が、戦闘以前の「脚気」のために病死しています。この点は、麦飯を活用して脚気を克服した同時期の日本海軍とは、対照的な結果を示すことになりました。

こうした近代史の経験から、百年を下った現代日本を考えるのは少々飛躍が過ぎていますが、要は「主食だけでなく、いろいろな食物の特性を生かして、バランス良く栄養を摂る」ということに尽きます。

ただ「白のご飯は、体に良くない」という極端な考えも、どこか日本人の思考に残っているようで、その反動としての過剰な「玄信仰」もあると言われます。確かに玄は、白にはない栄養素を多く含みます。しかし、あまりにその一点に意識が集中してしまうのは、体全体の健康を見ないという意味で、やはり「偏った食事」になってしまうのではないでしょうか。

収穫した稲から脱穀して得られるのが籾(もみ)です。籾の外殻(もみがら)を除去したものが玄。まだ茶色にちかい黄色をしているのは、まだ表面の糠(ぬか)が除去されていないからですが、その糠の部分にビタミンBやEなどの栄養素のほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などの微量元素が含まれています。

そうした栄養面の良さから「玄食」という食べ方が推奨されるわけですが、やはり食感が硬いので消化しやすいとは言えず、常食している人でも「玄飯がおいしい」と思うようになるまで、ある程度の「慣れ」が必要とされます。

を白にする工程を「精」あるいは「搗精(とうせい)」といいます。昔でいう「つき」のことですね。その精の度合いによって「七分づき」「五分づき」などと言い、求めたい食味の良さと、残したい栄養分との間で、昔の人もいろいろ工夫をしてきました。

表面の糠だけを除いて、胚芽部分を残したものを胚芽と呼んでいます。今日では、の生産者でない限り、玄を自家精する家庭は多くないと思いますが、健康志向の広がりから、都市部のスーパーでも玄や胚芽が販売されています。

さて、糠も胚芽も除去して、白い胚乳部分だけを食すのが、最も多く販売されている「白」です。炊きたての「白いご飯」ほど、おいしいものはありません。昔は銀シャリなどという俗語で貴ばれた白飯ですが、現代では、時にこれが悪者扱いされてしまいます。確かに、そのおいしさから、つい食べ過ぎて肥満を招くとか、少々オーバーに「血糖値が急上昇する」などの言い方もされます。


もちろん、玄飯や麦飯を常食にされている方は、その通りで結構です。ただ「精製されてデンプン質しかない白は、体にわるい」という否定論は、ちょっと言い過ぎではないでしょうか。要は、肥満にならないよう食事量をコントロールすることと、副菜もふくめて栄養バランスをとることです。

ジャンクフード中心の生活は別として、通常の食生活をしていれば、明治の兵隊さんのような脚気になることはありませんので、ご安心ください。

そこで(あくまでもご参考までですが)本稿の結論を申します。漢方医学では、白は明確に「良いもの」とされています。特に、日本人が最もよく食べている、うるちの白飯が最上なのだそうです。漢方医学によると、糠にふくまれる各種の微量元素は(健康体の人なら有益なのですが)糖尿病や腎臓病の患者には適さない場合があるといいます。そこで、例えば高齢者は、無理に硬い玄や穀類を食べるのではなく、白や白粥を主食として、副菜や汁ものを含めて栄養バランスがとれるようにすることをお薦めします。

また健康体の方で、玄食をお考えであるならば、玄100%ではなく、白と玄(または胚芽)を同量ずつの混合にして炊くと、よろしいのではないでしょうか。その場合、といだ白と、とがずにゴミだけさっと流した玄を合わせて炊きます。炊飯前の吸水に、玄は、やや長い時間を要しますのでご注意ください。


(翻訳編集・鳥飼聡)

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